
お店や教室、治療院を開くとき、最初のお客様を集める手段として今も多く使われているのがチラシです。ただ、開業準備は内装や仕入れ、手続きなどやることが多く、チラシは後回しになりがちです。この記事では、開業チラシを配る時期と部数の考え方、2〜3か月前から逆算する準備スケジュール、載せるべき情報のチェックリスト、よくある失敗までをまとめました。
結論:配布はオープンの1〜2週間前を中心に、準備は2〜3か月前から
開業チラシは、オープンの1〜2週間前ごろに配るのがひとつの目安です。早すぎると、オープンの頃には忘れられてしまいます。反対に直前すぎると、予定を立ててもらう時間がなく、せっかくの告知が届きにくくなります。
そして、この時期に配るためには、準備を2〜3か月前から始めておくのが理想です。内容を考え、デザインを作り、印刷して、配布の手配をする。この流れには、思った以上に時間がかかります。
この記事の要点
- 配布はオープンの1〜2週間前を中心に考えるのが目安
- 準備はオープンの2〜3か月前から逆算して始める
- 部数は商圏の広さと、目標の来店数から考える
- 店名・業種・オープン日・場所・特典は、ひと目で分かる位置に置く
- 1回で終わらせず、オープン後の2回目の配布まで計画しておく
オープンから逆算する準備スケジュール
開業チラシの準備を、オープン日から逆算して表にまとめました。業種や配布方法によって前後しますが、全体の流れをつかむ目安にしてください。
| 時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 2〜3か月前 | ターゲットと商圏を決める。配布方法を検討する | 誰に、どの範囲まで届けるかを先に決める |
| 1.5〜2か月前 | 載せる内容と特典を決め、写真や原稿を集める | 店内の写真は、内装が仕上がり次第撮っておく |
| 1〜1.5か月前 | デザインを依頼し、修正して内容を確定する | 営業時間や料金に間違いがないか、何度も確認する |
| 3〜4週間前 | 印刷を発注し、配布の手配をする | 新聞折込は搬入の締切、ポスティングは配布期間を確認する |
| 1〜2週間前 | チラシを配布する。近所へのあいさつ回りもこの時期に | 店頭にも同じチラシを置いておく |
| オープン後2〜4週間 | 2回目の配布。反響を記録して内容を見直す | 最初の反響を見て、特典やエリアを調整する |
内装工事の遅れも見込んでおく
開業準備では、工事や設備の搬入が予定より遅れることがあります。オープン日が決まりきらないうちにチラシを大量に刷ってしまうと、日付が変わったときに刷り直しになります。オープン日が確定するまでは印刷を待つ、日付の部分だけ差し替えやすいデザインにしておく、といった工夫をしておくと安心です。反響堂では、日付だけを変えた版を「名入れ・一部差し替え版」(1版3,000円・税抜)として作れます。
ホームページや地図サービスの情報も同時に整える
チラシを見た人の多くは、行く前にお店の名前で検索します。そのときに情報が見つからないと、不安に感じて足が止まることがあります。チラシを配るまでに、ホームページや地図サービスのお店情報、SNSのアカウントなどを整えておくと、チラシの効果を取りこぼしにくくなります。チラシに載せた営業時間や電話番号と、ネット上の情報が一致しているかも確認しておきましょう。
何部まく?部数の決め方
部数は、「どの範囲からお客様が来るか」と「何人に来てほしいか」の2つから考えます。
1. 商圏から配布エリアを決める
商圏とは、お客様が来てくれる範囲のことです。一般に、日常的に通うお店ほど商圏は狭く、わざわざ出かける目的のあるお店ほど広くなります。徒歩や自転車で来るお客様が中心の業種なら、まずはお店の近くから配るのが基本です。駐車場があり車で来る方が多い業種なら、もう少し広い範囲も候補になります。
2. 目標の来店数から逆算する
必要な部数は「ほしい件数 ÷ 見込む反響率」で考えます。仮に反響率を0.1%と見込み、オープン特典で20件の来店や問い合わせを目指すなら、20件 ÷ 0.001 = 20,000部が目安になります。オープン時は「新しいお店ができる」という話題性があるため、ふだんより反応が得られやすいこともありますが、あくまで目安として考えましょう。
3. 1回で使い切らず、分けて配る
予算が限られているなら、全部数を一度に配るより、オープン前とオープン後に分けて配るほうがおすすめです。1回目の反響を見てから、反応のよかったエリアに重ねて配ることができます。反響率や部数の考え方は、ポスティングチラシの反響率はどのくらい?で詳しく解説しています。
部数と費用、見込み件数の計算例
反響堂でA4片面のチラシを作って印刷した場合の総額と、反響率を仮に0.1%とした場合の件数です。実際の反響は、業種・地域・特典の内容でこれより高くも低くもなります。
| 部数 | デザイン+印刷(税抜) | 0.1%とした場合の件数 | 1件あたりのデザイン・印刷費 |
|---|---|---|---|
| 3,000部 | 26,900円 | 3件 | 約9,000円 |
| 5,000部 | 33,800円 | 5件 | 約6,800円 |
| 10,000部 | 52,200円 | 10件 | 約5,200円 |
デザイン料15,000円と印刷代(コート90kg・送料込み。印刷代は時期により変動します)の合計で、ポスティングや新聞折込の配布費は含みません。
部数を増やす前に、届ける相手を絞る
部数を増やすだけでなく、届ける相手を絞ることでも無駄は減らせます。ポスティング会社によっては、戸建てだけ・集合住宅だけといった配り分けができます。子ども向けの教室なら家族で住む世帯の多い地域、車で来るお店なら駐車場から来やすい方面、というように、来てほしい人が多い場所から配りましょう。
開業チラシに載せるべき情報チェックリスト
開業チラシは、初めてお店を知る人が読むものです。「何のお店か」「いつ、どこで開くのか」「行くと何がよいのか」が分からないと、行動にはつながりません。載せるべき情報を表にまとめました。
| 情報 | 載せる理由 | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 店名と業種 | 何のお店かを一瞬で伝える | 店名だけでは業種が分からないことが多い |
| オープン日 | 予定を立ててもらう | 曜日も一緒に書く |
| 住所と地図 | 場所をイメージしてもらう | 目印になる建物やお店を入れる |
| 営業時間と定休日 | 行ける日かどうかを判断してもらう | ラストオーダーや最終受付の時間も書く |
| 電話番号・予約方法 | 問い合わせや予約の入口 | 予約が必要かどうかをはっきり書く |
| メニューや料金 | 行く前の不安を減らす | 税込か税抜かを明記する |
| オープン特典 | 最初の一歩のきっかけ | 期限と条件をはっきり書く |
| 店主のあいさつと顔写真 | 人柄が伝わり、安心感が出る | 長すぎず、3〜4行程度にまとめる |
| 駐車場・駐輪場 | 車や自転車の方の判断材料 | 台数や提携駐車場の有無も書く |
すべてを同じ大きさで並べると、何も目に入らないチラシになってしまいます。いちばん大きく見せるのは「何のお店か」と「オープン日」と「特典」の3つ。ほかの情報は、読みたい人が探せる位置にあれば十分です。
反響堂の制作事例
眼科クリニック 開院告知チラシ業種で変わる:大きく見せるものと配るタイミング
開業チラシで何をいちばん大きく見せるか、いつ配るかは、業種によって変わります。反響堂の開業告知の制作事例をもとに、考え方を整理しました。事例の画像は制作実績でご覧いただけます。
| 業種(制作事例) | 大きく見せたもの | 配るタイミングの考え方 |
|---|---|---|
| 飲食(お弁当店の新規オープンのメニュー表) | 料理写真、価格、注文方法 | 当日の来店が中心。オープン直前に集中して配り、店頭にも置く |
| 美容・サロン(脱毛サロンのグランドオープン告知) | オープン日と店内の写真 | 予約制なので、予約の受付開始に間に合うよう早めに配る |
| 教室・習い事(空手道場の新規開設) | 「NEW OPEN」と入会金無料のキャンペーン | 体験や入会を考える期間が必要。体験会の日程から逆算する |
| 医療(眼科の開院告知、訪問看護ステーションの開設告知ポスター) | 開院日、フロアマップ、診療時間表/「OPEN」とサービス内容 | 内覧会を行うならその日程に合わせる。広告できる内容に決まりがある(内覧会チラシの作り方) |
| 福祉(障がい者グループホームの新物件オープン告知、就労継続支援B型事業所の開所案内) | 費用の内訳、1日の流れ、入居までのステップ/5つの特徴と仕事内容の写真 | 見学や相談を経て決まるので、見学会の日程を載せて早めに配る |
| 小売(トレーディングカード店のプレオープン告知) | 店のロゴ、3つの強み、地図 | プレオープンと本オープンの2段階で知らせる |
同じ業種でも、誰に来てほしいかで見せ方は変わります。たとえば飲食店なら、近くの会社で働く人にはランチの時間と価格を、家族連れには駐車場や子ども向けのメニューを大きく見せる、といった具合です。
オープン記念の特典の考え方
オープン特典は、初めての人が足を運ぶきっかけになります。ただし、特典の内容によっては、利益が出ないまま忙しくなるだけ、ということにもなりかねません。次の点を意識して決めましょう。
- 期限を決める(例:オープンから2週間など)
- 対象を決める(例:チラシ持参の方、初回の方のみなど)
- 原価を計算し、続けられる内容にする
- 2回目の来店につながる仕掛けを入れる(次回使えるクーポンなど)
業種別の特典の例
先着順の特典は、数に限りがあることと、なくなり次第終了することを明記しておきましょう。
とくに大切なのは、特典の条件をはっきり書くことです。「全品割引」と大きく書いて、小さな文字で対象外の商品が多いと、お客様をがっかりさせてしまいます。割引や無料の表示は、誤解のないように、分かりやすく書きましょう。
品物を渡すなら、景品表示法の上限を確認する
オープン記念で品物やサービスをおまけとして渡す場合は、景品表示法の景品規制が関わります。消費者庁の説明では、「景品類」とは、顧客を誘引する手段として、事業者が取引に付随して提供する物品や金銭などの経済上の利益のことです。来店者や購入者にもれなく渡すものは「総付景品」といい、購入の申し込み順や来店の先着順で渡すものも総付景品にあたります。くじなどの偶然性や、クイズの正誤などで渡すものは「懸賞」です。
| 種類 | 取引価額 | 景品類の上限 |
|---|---|---|
| 総付景品 | 1,000円未満 | 200円 |
| 総付景品 | 1,000円以上 | 取引価額の10分の2 |
| 一般懸賞 | 5,000円未満 | 最高額は取引価額の20倍。総額は懸賞に係る売上予定総額の2% |
| 一般懸賞 | 5,000円以上 | 最高額は10万円。総額は懸賞に係る売上予定総額の2% |
ただし、開店披露や創業記念の行事で提供するもので、正常な商慣習に照らして適当と認められるものには、総付景品の規制は適用されません(一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限〈昭和52年公正取引委員会告示第5号〉第2項第4号)。この例外は総付景品についてのもので、懸賞には上の上限がかかります。消費者庁のQ&Aでは、次のような場合に注意が必要とされています。
- 改装のための休業後のリニューアルオープンは、休業期間が長かった場合など、開店披露と実質的に同じと見られる場合でなければ、総付景品の規制がかかる
- 一定金額以上の購入や複数の条件をつけて、極めて限定的に渡す場合は、正常な商慣習に照らして適当とは認めにくい
- ネットショップの開設記念も同じ考え方だが、閉鎖と新規開設を繰り返している場合は開店披露と同じとは見られにくい
オープン特典の品物を決めるときは、次の順で確かめると整理しやすくなります。
- 品物やサービスを、来店や購入のおまけとして渡すか
- 抽選などで渡すか(懸賞)、もれなく・先着順で渡すか(総付景品)
- 懸賞なら、最高額と総額が上限に収まっているか
- 総付景品なら、新しく開く店の開店披露・創業記念として行うものか(リニューアルなら休業期間などの事情)
- 高額の購入者だけに限るなど、極めて限定的な渡し方になっていないか
判断に迷うときは、消費者庁や都道府県の景品表示法の担当窓口に相談しましょう。
本記事は一般的な情報で、法的助言ではありません。最新の制度・個別の判断は公式情報や専門家にご確認ください。
オープン後のリピーター施策
オープン特典で来てくれた人に、2回目も来てもらう準備をしておきましょう。
- 初回の来店時に、次回使える特典つきのカードを渡す(有効期限を入れる)
- 公式LINEやSNSの登録を案内し、次のお知らせを届けられるようにする
- オープン1か月など節目の案内を、同じデザインの雰囲気で続ける
反響堂でも、美容室の「1ヶ月記念キャンペーン」チラシを制作しています。オープン時と同じ雰囲気でそろえると、同じお店からのお知らせだと気づいてもらいやすくなります。
制作の現場でよくあるご相談
- オープン後の2回目のチラシは、1回目と同じデザインで作れますか?
- 作れます。特典の期限や日付など一部だけを変えた版は、名入れ・一部差し替え版として1版3,000円(税抜)で承っています。1回目と同じ雰囲気でそろえると、同じお店からのお知らせだと気づいてもらいやすくなります。
配布方法の選び方と組み合わせ
開業チラシの配り方には、いくつかの方法があります。ターゲットと予算に合わせて組み合わせるのが一般的です。
- ポスティング:お店の近くに集中して届けやすい。新聞を取っていない世帯にも届く
- 新聞折込:配布日をそろえやすく、高齢層に届きやすい
- 近所へのあいさつ回り:近隣の方に直接渡すことで、印象に残りやすい
- 店頭での掲示・配布:工事中から「近日オープン」を知らせられる
- 関係先への設置:知り合いのお店や地域の施設に置かせてもらう
2つの配布方法の違いは、新聞折込とポスティング、どちらを選ぶ?で詳しく比べています。
駅前や道路でチラシを手配りする場合、場所や方法によっては管轄の警察署の道路使用許可などが必要になることがあります。事前に確認しておきましょう。また、集合住宅の「チラシお断り」の表示は必ず守りましょう。
反響堂の料金で見る実例
反響堂の料金で計算すると(5,000部の場合)
A5片面チラシ・5,000部
- デザイン
- 10,000円
- 印刷・送料
- 14,400円
- 合計(税抜)
- 24,400円税込 26,840円
A4片面チラシ・5,000部
- デザイン
- 15,000円
- 印刷・送料
- 18,800円
- 合計(税抜)
- 33,800円税込 37,180円
B4片面チラシ・5,000部
- デザイン
- 20,000円
- 印刷・送料
- 56,000円
- 合計(税抜)
- 76,000円税込 83,600円
同じ5,000部でも、サイズによって総額は変わります。店頭に置く分や手渡しならA5、ポスティングならA4、新聞折込で目立たせたいならB4というように、配り方に合わせて選ぶ目安にしてください。配布の費用は含まれていません。
税抜価格(お支払いは消費税10%を加えた金額)。印刷はコート90kg(冊子は表紙・本文ともコート90kg)・最短1営業日発送・全国1か所まで送料込みの目安で、印刷会社の価格改定により変わることがあります。修正は同じ企画の範囲なら回数無制限で、追加料金はかかりません。ほかの条件は料金シミュレーターで試算できます。
開業チラシでよくある失敗
開業チラシで起きやすい失敗を挙げました。作る前に目を通しておくと、多くは防げます。
- 準備が遅れ、配布がオープン直前や当日になってしまう
- 店名は大きいのに、何のお店かが分からない
- こだわりや想いを書きすぎて、肝心の情報が埋もれている
- 特典に期限がなく、「そのうち行こう」で終わってしまう
- 営業時間や電話番号に誤りがある
- オープン後の2回目の配布を考えておらず、最初の反響だけで終わる
とくに5つ目は、刷り直しになるうえ、お客様の信頼も損ねてしまいます。完成前には、家族やスタッフなど、自分以外の人にも読んでもらいましょう。依頼前の準備はチラシ作成を外注する前に準備したい7つのことも参考にしてください。
反響堂でお手伝いできること
反響堂では、開業・オープン告知のチラシのデザインと印刷をお受けしています。デザイナー歴22年の個人デザイナーが直接担当し、初稿は最短3営業日でお届けします。修正は同じ企画の範囲なら回数無制限なので、オープン日の変更などにも対応しやすくなっています。デザイン料は税抜でA4片面15,000円、印刷込みならA4片面1,000部で21,000円(税抜・コート90kg・送料込み。印刷代は時期により変動します)です。配布の手配は行っていないため、ポスティングや折込は別途ご手配ください。詳しくは開業・オープンチラシ制作のページをご覧ください。
よくある質問
開業チラシはいつ配るのがよいですか?
オープンの1〜2週間前ごろを中心に配るのがひとつの目安です。早すぎると忘れられやすく、直前すぎると予定を立ててもらう時間がなくなります。オープン後2〜4週間ごろに2回目を配ると、1回目で届かなかった人にも届けやすくなります。
開業チラシの準備はいつから始めればよいですか?
オープンの2〜3か月前から始めるのが理想です。ターゲットと配布方法を決め、写真や原稿を集め、デザインと印刷、配布の手配をする流れには思った以上に時間がかかります。工事の遅れも見込んでおくと安心です。
開業チラシに必ず載せるべき情報は何ですか?
店名と業種、オープン日(曜日も)、住所と地図、営業時間と定休日、電話番号や予約方法、オープン特典とその期限・条件は欠かせません。特に「何のお店か」「オープン日」「特典」の3つは、ひと目で分かるように大きく見せましょう。
オープン記念の粗品や景品に金額の上限はありますか?
来店者にもれなく渡す総付景品は、取引価額1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2までが原則です。ただし、開店披露や創業記念で正常な商慣習に照らして適当なものは総付景品の規制が適用されません。リニューアルオープンや、高額購入者に限る渡し方は例外にならないことがあるため、消費者庁の情報で確認しましょう。



