クリニックの開業準備の中で、内覧会は地域の方に院内を見てもらい、顔を覚えてもらえる貴重な機会です。その案内に欠かせないのがチラシですが、医療機関の広告には医療法による規制があり、一般のお店のチラシと同じ感覚で作ると思わぬ問題につながることがあります。この記事では、内覧会チラシに関わる広告ルールの基本と、載せたい項目、来場につながるデザインの考え方、配布までのスケジュールの目安を解説します。
結論:内覧会チラシは「広告のルール」と「来てもらう工夫」を両立させる
内覧会のチラシは、開院を地域に知らせる最初の広告です。多くの場合、内覧会の案内と、開院後の診療の案内を1枚で兼ねることになります。
ここで押さえておきたいのは、クリニックのチラシは医療法の広告規制の対象になるということです。医療機関の広告は、一般のお店と違って「広告してよい事項」が決められており、書き方にも細かな決まりがあります。そのうえで、「行ってみたい」「ここなら相談できそう」と思ってもらえる工夫を重ねていくのが、内覧会チラシづくりの基本です。
この記事の要点
- クリニックのチラシは医療法の広告規制と医療広告ガイドラインの対象になる
- 広告できる事項が決まっており、比較や誇張、体験談などは禁止されている
- 記念品や費用を大きく打ち出す書き方は避け、扱いは事前に確認する
- 院長の人柄と院内の雰囲気、通いやすさで安心感を伝える
- 保健所への相談も含め、開院の2〜3か月前には準備を始めると余裕が持てる
内覧会チラシに関わる医療広告のルール
医療機関の広告は、医療法と、厚生労働省が示している医療広告ガイドラインによってルールが定められています。チラシは、不特定多数の人に向けて医療機関の名前を示し、受診を促すものなので、一般に広告として扱われます。
広告できる事項が決まっている
医療機関の広告では、法律などで認められた事項だけを広告できるのが原則です。代表的なものには、診療科名、医療機関の名称・所在地・電話番号、診療日や診療時間、予約制の有無、医師の氏名や略歴、院内の設備、駐車場の有無などがあります。
ホームページのように、患者さんが自分から調べて見る情報については、一定の条件を満たせば広告できる範囲が広がる仕組みがあります。ただし、ポストに届くチラシのように不特定多数に配る広告は、原則として広告できる事項の範囲で作ると考えておきましょう。
禁止されている主な広告
医療広告ガイドラインでは、次のような広告が禁止されています。
- 虚偽の広告:事実と異なる内容の広告
- 比較優良広告:ほかの医療機関より優れていると示す広告
- 誇大広告:必ずしも虚偽ではないが、事実を誇張して誤認させる広告
- 体験談:患者さんの主観に基づく、治療の内容や効果に関する体験談
- 治療前後の写真:誤認させるおそれのある、いわゆるビフォーアフターの写真など
- 公序良俗に反する広告:わいせつな内容や、残虐な図画など
「地域で一番」「最先端の治療」「痛くない治療」のような言葉は、比較優良広告や誇大広告にあたるおそれがあります。開院の意気込みを伝えたい気持ちは大切ですが、根拠を示しにくい言葉は使わないのが無難です。
診療科名と専門医の表示
診療科名は、法令で定められた名称、またはその組み合わせで表示する必要があります。独自に考えた診療科の名前は広告できません。また、専門医の資格も、広告できるものが決められています。院長の経歴を紹介する際は、表示してよい資格かどうかを確認しておきましょう。
内覧会チラシに載せたい項目と書き方のポイント
内覧会チラシに載せる代表的な項目を、書き方のポイントとあわせて表にまとめました。
| 項目 | 書き方のポイント | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 内覧会の日時 | 日付・曜日・時間を大きく。予約の要不要も書く | 複数日ある場合は表にして見やすく |
| 開院日 | 内覧会の日時の近くに並べて示す | 日付が変わる可能性があるときは早めに確定させる |
| 診療科名 | 読みやすい大きさで、分かりやすく並べる | 法令で認められた名称で表示する |
| 診療時間・休診日 | 時間割の表で、午前・午後の区切りを分かりやすく | 土曜日の午後など例外の時間もはっきり書く |
| 院長のあいさつ・略歴 | 顔写真と短いあいさつで人柄を伝える | 経歴や資格は表示してよい内容かを確認する |
| 地図・アクセス・駐車場 | 目印になる建物と、駐車場の台数・位置を示す | 建物の何階か、入口の場所まで書く |
| 連絡先・予約方法 | 電話番号と、予約の受付開始日を示す | 開院前の問い合わせ窓口を用意しておく |
内覧会の案内で気をつけたいこと
内覧会そのものの案内にも、医療機関ならではの注意点があります。
記念品や特典を大きく打ち出さない
一般のお店の開店チラシでは、来場記念のプレゼントを大きく打ち出すことがよくあります。しかし医療広告ガイドラインでは、提供する医療の内容と直接関係のない物品の提供などで患者さんを誘う広告(例:「無料相談をされた方全員に〇〇をプレゼント」)は、品位を損ねる内容の広告として「厳に慎むべき」とされています。内覧会で記念品を用意する場合でも、チラシでの見せ方は控えめにし、扱いについては事前に保健所へ確認しておくと安心です。
費用を強調しない
「今なら半額」「期間限定の割引」のように費用を強調する広告も、医療広告ガイドラインでは品位を損ねる内容の広告として、厳に慎むべきものとされています。自由診療の料金を載せる場合は、内容や条件をきちんと示すことが求められます。内覧会チラシでは、料金を前面に出すより、院内の様子や院長の人柄を伝えることに紙面を使うほうが、クリニックの印象づくりにもつながります。
内覧会で行う内容の案内
内覧会は開院前の見学の場なので、診察や検査などの医療行為は行わないのが基本です。院内見学、院長のあいさつ、設備の紹介など、案内する内容が誤解を招かないように書きましょう。体験や測定のような催しを考えている場合は、それが医療行為にあたらないかを事前に確認しておくことが大切です。
来場につながるデザインの考え方
ルールを守ったうえで、地域の方に「行ってみよう」と思ってもらうための工夫です。
院長の顔と言葉で安心感を伝える
新しいクリニックに対して、多くの人は「どんな先生なのか」を気にしています。院長の顔写真と、地域への思いを短くまとめたあいさつがあるだけで、チラシの印象は大きく変わります。写真は、白衣で自然な表情のものを選ぶと親しみやすくなります。
院内の雰囲気が伝わる色と写真
待合室や診察室の写真、クリニックのロゴや基調の色をチラシにも使うと、開院後の看板やホームページとの統一感が生まれます。完成前で写真がない場合は、完成予想のイラストやイメージであることを明記したうえで使う方法もあります。
日時と場所を迷わせない
内覧会のチラシで最も大切なのは、いつ、どこで開かれるかがひと目で分かることです。日時と地図は、紙面の中でもとくに目立つ位置に置きましょう。高齢の方も読むことを考えて、文字の大きさにも余裕を持たせると親切です。
開院後も手元に残る紙面にする
内覧会の案内が終わっても、チラシが捨てられずに手元に残れば、開院後の受診のきっかけになります。診療時間の表や電話番号、地図を裏面にまとめ、「保存用」として冷蔵庫や掲示板に貼っておけるようにするのも一つの工夫です。内覧会の情報と開院後の診療案内を表と裏で分けると、どちらの情報も探しやすくなります。
準備から配布までのスケジュールの目安
内覧会チラシは、開院準備の忙しい時期と重なります。一例として、次のような流れで進めると余裕を持って配布できます。
- 開院の2〜3か月前:内覧会の日程を決め、チラシに載せる内容を整理する。広告の表現について保健所に相談しておく
- 開院の2か月前ごろ:デザインを依頼し、原稿や写真を用意する
- 開院の1〜1.5か月前:内容の最終確認をして印刷する
- 内覧会の2〜3週間前:ポスティングや新聞折込で配布する
配布の方法は、通院圏内の住宅に絞って届けられるポスティングや、地域にまとめて届けられる新聞折込がよく使われます。開院告知の考え方は開店・オープンチラシ制作のページでも紹介しています。
内覧会の当日に院内で配るパンフレットをあわせて作っておくと、チラシでは載せきれない院内の設備や診療の流れを伝えられます。パンフレット制作もご検討ください。
医療広告に関するルールの解釈や運用は、内容や地域によって判断が分かれることがあり、ガイドラインが改正されることもあります。本記事は一般的な情報をまとめたもので、法的助言ではありません。最終的には所管の行政機関(保健所や都道府県など)・業界団体の資料や専門家にご確認ください。
反響堂の料金目安
反響堂では、デザイナー歴22年の個人デザイナーが直接担当し、表現に確認が必要な箇所はご相談しながら進めます。表現の最終的な確認はクリニック側でお願いしています。デザイン料は税込でA4片面15,000円、A4両面25,000円、B4片面20,000円など、サイズごとの定額で、院内用のパンフレット(A4二つ折り・三つ折り)は35,000円です。同じ企画の範囲なら修正は回数無制限で、初稿は最短3営業日でお届けします。印刷込みの場合はA4両面1,000部で30,900円(標準納期・コート90kg・送料込み、時期により変動する目安)です。なお、配布の手配は行っていません。クリニック向けの作り方はクリニックのチラシ制作のページで、ほかのサイズや部数は料金シミュレーターで確認できます。開院準備の早い段階でも、LINEで気軽にご相談ください。
よくある質問
クリニックの内覧会チラシは広告規制の対象になりますか?
一般に、チラシは医療機関の名前を示して受診を促すものとして、医療法の広告規制と医療広告ガイドラインの対象になります。広告できる事項が決められており、比較や誇張、体験談などは禁止されています。判断に迷う場合は、所管の保健所に確認してください。
内覧会チラシに記念品のプレゼントを載せてもいいですか?
医療広告ガイドラインでは、医療の内容と直接関係のない物品の提供などで患者さんを誘う広告は、品位を損ねる内容の広告として「厳に慎むべき」とされています。記念品を用意する場合もチラシでの見せ方は控えめにし、扱いについては事前に保健所などへ確認すると安心です。
内覧会チラシはいつごろ配ればよいですか?
一つの目安として、内覧会の2〜3週間前に配布できるよう、開院の2〜3か月前から内容の整理と保健所への相談を始め、開院の1〜1.5か月前に印刷を終えるスケジュールがおすすめです。