チラシを作るとき、いちばん手が止まるのがキャッチコピーではないでしょうか。「おしゃれな言葉が思いつかない」と悩む方は多いのですが、チラシのキャッチコピーにセンスはそれほど必要ありません。この記事では、キャッチコピーの作り方の基本となる考え方と、そのまま当てはめて使える10個の型、飲食・整体・塾・美容・不動産の業種別の例文、避けたい表現やチェック方法まで、順を追って解説します。
結論:キャッチコピーの作り方は「誰に」+「得」+「今」
チラシのキャッチコピーの作り方で迷ったら、まず次の3つを1文に入れることを考えてください。
- 誰に:このチラシを読んでほしいのはどんな人か
- 得:その人にとって、どんな良いことがあるのか
- 今:なぜ今、行動したほうがよいのか
たとえば「おいしいランチあります」というコピーは、誰に向けたものかも、今行く理由も分かりません。これを「駅前で働く方へ。11時半までの来店で、日替わりランチがすぐ出せます」と変えると、読む人と得と今がそろいます。気の利いた言い回しより、この3つがはっきりしているほうが、読む人は自分のことだと感じやすくなります。
キャッチコピーの考え方は、言葉を「ひねり出す」作業ではなく、お客様にとっての価値を「選んで短くする」作業です。先にお店やサービスの強みを書き出し、その中から読む人がいちばん気にしそうなものを選ぶ。この順番を守るだけで、コピーづくりはぐっと楽になります。
この記事の要点
- キャッチコピーは「誰に」「得」「今」の3つで組み立てる
- チラシは数秒で読むかどうかが決まるため、最初の一行が大切
- 型を使えば、センスに頼らずに一定水準のコピーが作れる
- 根拠のない「No.1」や大げさな表現は避ける
- コピーはデザインと合わせて、目に入る順番まで考える
チラシのキャッチコピーの役割:数秒で「読むかどうか」が決まる
ポストに入ったチラシや新聞折込のチラシは、多くの場合、ほんの数秒で「読む」「捨てる」が判断されます。そのわずかな時間に目に入るのが、キャッチコピーと写真です。つまりキャッチコピーの役割は、商品を売り切ることではなく、「続きを読んでもらう」ことにあります。
そのため、キャッチコピーにすべての情報を詰め込む必要はありません。料金、場所、営業時間などの細かい情報は、本文やサブのコピーに任せます。キャッチコピーでは「これは自分に関係がある」と思ってもらうことだけに集中しましょう。
キャッチコピーとチラシのタイトルの違い
チラシのタイトルとキャッチコピーは混同されがちですが、役割が少し違います。タイトルは「何のチラシか」を示すもので、「春の体験レッスンのご案内」「〇〇店 オープンのお知らせ」のような言葉です。キャッチコピーは、そのタイトルを読みたくなる気持ちをつくる言葉です。
実際のチラシでは、キャッチコピーを大きく、タイトルやサービス名をその近くに添える形がよく使われます。どちらか一方しか入れられない小さなチラシなら、タイトルに「誰に」と「得」を含めて、キャッチコピーの役割も持たせると効果的です。
キャッチコピーを考える前に書き出すこと
コピーを考え始める前に、次の4つを紙に書き出しておくと、言葉が出てきやすくなります。
- 読んでほしい人(年代、住んでいる場所、困っていること)
- その人がよく言う悩みや口ぐせ
- 自分のお店やサービスの強み(できるだけ具体的に)
- 今回のチラシで取ってほしい行動(来店、電話、予約、資料請求など)
特に2番目の「お客様がよく言う言葉」は、そのままキャッチコピーの材料になります。「朝起きると腰が重い」「子どもが家で勉強しない」といった言葉は、作り手が考えた言葉より読む人の心に届きやすいものです。
チラシですぐ使えるキャッチコピーの型10個
ここからは、チラシのキャッチコピーでよく使われる10個の型を紹介します。まずは型に当てはめて何本か書いてみて、その中から良いものを選ぶ進め方がおすすめです。
| 型 | 考え方 | キャッチコピーの例 |
|---|---|---|
| 1. 呼びかけ型 | 読んでほしい人を名指しする | 「〇〇町で新しい歯医者をお探しの方へ」 |
| 2. 悩み共感型 | 読む人の悩みをそのまま書く | 「朝、靴下をはくのがつらくなっていませんか」 |
| 3. 問いかけ型 | 答えを考えたくなる質問を置く | 「その保険、最後に見直したのはいつですか」 |
| 4. 数字型 | 具体的な数字で分かりやすくする | 「1回30分、仕事帰りに通える」 |
| 5. ベネフィット型 | 商品ではなく、得られる結果を書く | 「週末の夕食づくりが、ぐっと楽になります」 |
| 6. ビフォーアフター型 | 変化の前と後を並べる | 「散らかった物置が、使える収納に」 |
| 7. 限定型 | 期間・人数・地域を区切る | 「10月末まで。先着20名様に体験無料」 |
| 8. ハウツー型 | 方法やコツを教える形にする | 「失敗しない外壁塗装の選び方、教えます」 |
| 9. 意外性型 | 常識と少し違うことを言う | 「塾に通っても、成績が上がらない理由」 |
| 10. 地域密着型 | 地名や身近な場所を入れる | 「〇〇小学校のすぐ近くに、学童ができました」 |
1. 呼びかけ型:読む人を名指しする
「〇〇な方へ」と対象をしぼる型です。対象をしぼると読む人が減るように感じますが、実際は逆で、名指しされた人は「自分のことだ」と感じて読み進めてくれます。万人向けの言葉は、誰の心にも引っかかりにくいのです。
2. 悩み共感型:悩みをそのまま言葉にする
お客様がふだん口にしている悩みを、そのまま書く型です。整体、学習塾、リフォームなど、悩みを解決するサービスと相性が良い型です。悩みの後に「その原因、〇〇かもしれません」と続けると、本文へ自然につながります。
3. 問いかけ型:答えたくなる質問を置く
人は質問をされると、頭の中で答えを考えようとします。「はい」か「いいえ」で答えられる、身近な質問にするのがコツです。難しい質問や、答えると気まずくなる質問は避けましょう。
4. 数字型:具体的な数字で伝える
「短時間で」より「30分で」、「たくさんの種類」より「20種類」のほうが、読む人は様子をイメージしやすくなります。ただし、数字は事実に基づいたものだけを使ってください。根拠のない数字は、あとで信用を落とす原因になります。
5. ベネフィット型:商品ではなく結果を伝える
ベネフィットとは、商品を使った結果として得られる良いことです。「高性能なエアコン」ではなく「夏の夜もぐっすり眠れる部屋に」のように、使ったあとの生活を描きます。売り手は商品の特長を書きたくなりますが、読む人が知りたいのは自分の暮らしがどう変わるかです。
6. ビフォーアフター型:変化を見せる
使う前と使った後の変化を並べる型です。リフォーム、ハウスクリーニング、美容など、変化が目に見えるサービスで力を発揮します。写真と組み合わせると、さらに伝わりやすくなります。
7. 限定型:今行動する理由をつくる
期間、人数、地域などを区切って、「今」動く理由をつくる型です。「期間限定」とだけ書くより、「10月末まで」と具体的な日付を入れたほうが、信頼感が増します。実際には限定していないのに限定と書くのは、読む人をだますことになるので避けてください。
8. ハウツー型:役立つ情報として読ませる
「〇〇の選び方」「〇〇のコツ」のように、情報を教える形にする型です。売り込みの印象が弱まるため、じっくり比べてから決める高額な商品やサービスに向いています。
9. 意外性型:常識を少しずらす
多くの人が当たり前だと思っていることと、少し違う主張をする型です。「なぜだろう」と思わせて本文へ誘います。ただし、奇をてらいすぎると内容が伝わらなくなるため、本文でしっかり理由を説明できるときだけ使いましょう。
10. 地域密着型:身近な地名を入れる
地名、駅名、学校名、よく知られた建物など、その地域の人にとって身近な言葉を入れる型です。ポスティングや新聞折込のように配る範囲が決まっているチラシでは、とても使いやすい型です。地元の人が「近くだ」と感じるだけで、読まれる確率は上がりやすくなります。
業種別のキャッチコピー例文
型の使い方をイメージしやすいように、業種別のキャッチコピーの例を紹介します。そのまま使うのではなく、自分のお店の地名や強みに置き換えて使ってください。
飲食店のキャッチコピー例
- 「〇〇駅から歩いて3分。お昼休みに間に合う日替わり定食」(数字型+地域密着型)
- 「今夜のおかず、もう決まりましたか」(問いかけ型)
- 「ご家族4人で、ゆっくり座れる個室があります」(呼びかけ型+ベネフィット型)
飲食店では、料理名だけでなく「どんな場面で使えるか」を伝えると、行く理由がはっきりします。飲食店のチラシ全体の作り方は飲食店のチラシの作り方でも紹介しています。
整体・治療院のキャッチコピー例
- 「長時間のデスクワークで、肩が重いと感じる方へ」(呼びかけ型+悩み共感型)
- 「仕事帰りの19時まで受付。1回40分の施術」(数字型)
- 「体の使い方から見直す、セルフケアのアドバイスつき」(ベネフィット型)
整体などの業種では、「必ず治る」「完治」のように効果を保証する表現は避ける必要があります。また、整骨院・鍼灸院など国家資格にもとづく施術所は、広告できる事項そのものが法律で限られているため、上のような表現も使えない場合があります。表現の注意点は整体院のチラシで気をつけたい表現で詳しくまとめています。
学習塾のキャッチコピー例
- 「宿題を後回しにしがちなお子さまへ」(呼びかけ型)
- 「定期テスト前の2週間、自習室を毎日開けています」(数字型)
- 「わからないを、その日のうちに質問できる塾です」(ベネフィット型)
美容室・サロンのキャッチコピー例
- 「朝のスタイリングが5分で決まる髪型に」(ベネフィット型+数字型)
- 「白髪が気になり始めた方へ。明るく染める方法があります」(呼びかけ型+ハウツー型)
- 「初めての方限定。10月中のご予約でトリートメントをサービス」(限定型)
不動産のキャッチコピー例
- 「〇〇小学校まで歩いて5分。子育て世帯の住みかえに」(地域密着型+呼びかけ型)
- 「住みかえを考え始めたら、まず知っておきたい3つのこと」(ハウツー型)
- 「空き家のままにしている実家、相談だけでも受け付けています」(悩み共感型)
不動産の広告には業界の表示ルールがあり、使えない言葉や、根拠が必要な言葉があります。距離や所要時間なども、決められた基準に沿って書く必要があります。
長さと改行:読みやすい文字数の目安
キャッチコピーは短いほど目に入りやすくなります。一般に、ひと目で読める長さは10〜15文字程度と言われます。長くなる場合でも、20文字前後までにおさめると読みやすさを保ちやすいでしょう。
| 要素 | 文字数の目安 | 役割 |
|---|---|---|
| メインのキャッチコピー | 10〜20文字程度 | 読むかどうかを決めてもらう |
| サブのコピー | 20〜40文字程度 | キャッチを補足し、本文へつなぐ |
| 見出し(本文の各ブロック) | 10文字前後 | 拾い読みでも内容が分かるようにする |
言いたいことが長くなるときは、メインとサブの2段に分けます。たとえば「肩こりに悩むデスクワークの方へ、仕事帰りに通える整体です」は長いので、メインを「その肩の重さ、あきらめていませんか」、サブを「デスクワークの方へ。仕事帰りの19時まで受付」と分けると読みやすくなります。
改行は意味の切れ目で入れる
キャッチコピーを2行にするときは、言葉の意味の切れ目で改行します。「〇〇町の/新しい歯医者」はよいのですが、「〇〇町の新し/い歯医者」のように単語の途中で改行すると、一気に読みにくくなります。デザインの都合で文字数が合わないときは、言葉を入れ替えて調整しましょう。
言ってはいけない表現:誇大・根拠のない「No.1」など
目立たせたい気持ちから、つい強い言葉を使いたくなります。しかし、事実と違う表現や大げさな表現は、法律上の問題になるおそれがあるうえ、お客様の信頼も失います。
根拠のない「No.1」「日本一」「業界最安」
「No.1」「日本一」「地域最安」などの表現は、客観的な調査などの根拠がなければ使うべきではありません。実際より良く見せる表示は、景品表示法で問題になることがあります。根拠がある場合でも、調査の時期や対象などをあわせて書くのが一般的です。
効果を保証する言葉
「必ず痩せる」「絶対に成績が上がる」「確実に治る」のように、結果を保証する表現は避けましょう。特に健康や医療に関わるサービスでは、法律やガイドラインで表現が細かく定められている場合があります。
実際と違う「限定」「値引き」
いつも同じ価格なのに「今だけ半額」と書いたり、実際には販売していない高い価格と比べて安く見せたりする表示も、問題になることがあります。「限定」や「値引き」を使うときは、本当にその条件であるかを確認してください。
本記事は一般的な情報で、法的助言ではありません。最新の制度・個別の判断は公式情報や専門家にご確認ください。業種によっては、景品表示法のほかに業界ごとの表示ルールやガイドラインがあります。
キャッチコピーを磨く3つのチェック
何本か書いたら、次の3つの方法でチェックして、いちばん良いものを選びましょう。
- 声に出して読む:読みにくい、言いにくいところがあれば、言葉を入れ替えます。声に出してつかえる文は、目で読んでもつかえます。
- ターゲットに近い人に見せる:家族や常連のお客様に「どれがいちばん気になるか」を聞いてみます。作り手の好みとお客様の反応は、意外と違うものです。
- 他のお店の名前に置き換えてみる:自分のお店の名前を別のお店に替えても通じるコピーは、ありきたりの可能性があります。地名や具体的な数字など、自分のお店ならではの要素を入れましょう。
また、候補を1本にしぼれないときは、キャッチコピーだけを変えた2種類のチラシを配り、反応を比べる方法もあります。配る地域や時期をそろえ、クーポンの番号などで見分けられるようにしておくと、次のチラシづくりに活かせます。
デザインと合わせたときのキャッチコピーの見せ方
同じキャッチコピーでも、チラシの中での見せ方によって、伝わり方は大きく変わります。
いちばん大きく、いちばん上に
チラシを見る人の目は、一般に大きな文字や写真から先に動きます。キャッチコピーはチラシの上部に、ほかのどの文字よりも大きく置くのが基本です。店名やロゴを大きくしすぎて、キャッチコピーが目立たなくなっているチラシはよく見かけます。
写真とセットで意味が伝わるように
キャッチコピーと写真は、ひとつのメッセージとして組み合わせると効果的です。「週末の夕食づくりが楽になります」というコピーなら、家族で食卓を囲む写真を合わせる、といった具合です。コピーと写真が別々のことを言っていると、読む人は迷ってしまいます。
強調は1か所だけ
キャッチコピーの中で色を変えたり、文字を大きくしたりする強調は、1か所にしぼります。「誰に」「得」「今」のうち、いちばん伝えたい言葉だけを目立たせましょう。あちこちを強調すると、結局どこも目立たなくなります。
キャッチコピーと合わせて、チラシ全体の構成や載せる情報の順番も見直すと、読みやすさはさらに上がります。反響を意識したチラシの考え方は反響が出るチラシの作り方も参考にしてください。
反響堂でのキャッチコピーづくり
反響堂では、デザイナー歴22年の個人デザイナーが、キャッチコピーの提案も含めてチラシを直接担当します。「強みをうまく言葉にできない」という段階でも、お店の特長やお客様の声を伺いながら一緒に考えます。デザイン料は税込でA4片面15,000円、両面25,000円などサイズごとの定額で、同じ企画の範囲なら修正は無制限です。ほかのサイズの料金は料金シミュレーターで確認でき、LINEでの相談も受け付けています。
よくある質問
キャッチコピーが思いつかないときは、何から始めればよいですか?
まず「読んでほしい人」「その人がよく言う悩み」「お店の強み」「取ってほしい行動」の4つを書き出してください。そのうえで、呼びかけ型や悩み共感型などの型に当てはめて何本か書き、良いものを選ぶ進め方がおすすめです。
チラシのキャッチコピーは何文字くらいが良いですか?
一般に、ひと目で読める長さは10〜15文字程度と言われます。長くなる場合でも20文字前後を目安にし、それ以上になるときはメインのコピーとサブのコピーに分けると読みやすくなります。
「地域No.1」と書いてもよいですか?
客観的な調査などの根拠がない場合は、使うべきではありません。実際より良く見せる表示は景品表示法で問題になることがあります。根拠がある場合も、調査の時期や対象をあわせて書くのが一般的です。