「パソコンの画面では鮮やかだったのに、印刷したらくすんだ色になってしまった」。チラシやパンフレットを作ると、多くの人がこの経験をします。原因は、画面の色を表すRGBと、印刷の色を表すCMYKの仕組みの違いです。この記事では、CMYKとRGBの違いをやさしく説明したうえで、色が変わりやすい色、身近なソフトで作ったデータの注意点、写真の解像度、イメージ通りに仕上げるコツまでをまとめました。
結論:CMYKとRGBの違いは「光の色」と「インクの色」の違い
CMYKとRGBの違いを一言でいうと、RGBはパソコンやスマホの画面が光で色を表す方法、CMYKは印刷機がインクで色を表す方法です。色の作り方そのものが違うため、画面で見た色をそのまま紙の上に再現することはできません。
特にRGBの画面は、光そのものを目に届けるので、とても明るく鮮やかな色が出せます。一方、印刷は紙に当たって反射した光を見ているため、表現できる色の範囲が画面より狭くなります。これが「印刷すると色がくすむ」いちばんの理由です。
この記事の要点
- RGBは光の三原色、CMYKはインクの4色で色を表す
- 印刷で表現できる色の範囲は、画面より狭い
- 鮮やかな青・緑・オレンジ、蛍光のような色は特にくすみやすい
- 印刷用のデータはCMYKで作り、写真は原寸で350dpi程度を目安にする
- 色にこだわるなら、色校正や特色を検討する
RGBとCMYKの仕組みをやさしく解説
RGB:光を重ねるほど明るくなる
RGBは、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の3色の光を組み合わせて色を作る方法です。3色の光をすべて最大にすると白になり、すべて消すと黒になります。光を重ねるほど明るくなるため、「加法混色」と呼ばれます。テレビ、パソコン、スマホ、デジタルカメラなど、画面に関わるものはすべてこの方式です。
CMYK:インクを重ねるほど暗くなる
CMYKは、シアン(青緑に近い色)、マゼンタ(赤紫に近い色)、イエロー(黄色)の3色に、黒を加えた4色のインクで色を作る方法です。黒は「K」で表されます。これは、印刷で基準になる版を意味する「キープレート」の頭文字からきているとされます。
インクは、重ねるほど光を吸収して暗くなります。そのため「減法混色」と呼ばれます。紙の白さがいちばん明るい色になり、それより明るい色は出せません。理屈の上では3色を重ねると黒になりますが、実際には濁った濃い茶色のようになるため、引き締まった黒を出すために黒インクを加えています。
| 比べる点 | RGB | CMYK |
|---|---|---|
| 色のもと | 光(赤・緑・青) | インク(シアン・マゼンタ・イエロー・黒) |
| 混ぜると | 明るくなり、白に近づく | 暗くなり、黒に近づく |
| 使われる場面 | 画面、Web、SNS、動画 | チラシ、パンフレットなどの印刷物 |
| 表現できる色の範囲 | 広い | RGBより狭い |
| 得意な色 | 鮮やかな青・緑、光るような色 | 落ち着いた色、肌色、文字の黒 |
印刷で色がくすみやすい色・変わりにくい色
RGBで作ったデータを印刷すると、CMYKで表せない色は、表せる範囲のいちばん近い色に置きかえられます。このとき、特に変化が大きいのが次のような色です。
- 画面上の鮮やかな青(青紫っぽく、または暗く沈みやすい)
- 明るい黄緑やエメラルドグリーン(くすんだ緑になりやすい)
- 鮮やかなオレンジや朱色(少し濁りやすい)
- 蛍光のピンクや黄色(通常の4色では再現できない)
反対に、肌色やベージュ、落ち着いた茶色、紺色、くすみ系の色などは、比較的変化が小さい色です。最初から印刷を前提にするなら、これらを中心に配色を考えると、仕上がりとのずれを小さくできます。
また、同じCMYKのデータでも、紙によって色の見え方は変わります。表面がつるっとしたコート紙は発色がよく、表面がざらっとした上質紙はインクが紙にしみ込むため、全体に少し沈んだ色になります。紙を選ぶときは、色の出方も考えておきましょう。
Word・Canva・PowerPointで作ったデータの注意点
身近なソフトでチラシを作る人も多いと思います。ただ、WordやPowerPointはもともと画面や家庭用プリンターでの利用を前提にしたソフトで、色はRGBで扱われます。CMYKで色を指定することは基本的にできません。
そのため、WordやPowerPointで作ったデータを印刷会社に入稿すると、印刷のときにCMYKへ変換され、色が変わることがあります。PDFに書き出して入稿する場合も、色の仕組み自体は変わらない点に注意しましょう。
Canvaも、画面上ではRGBで作業するのが基本です。印刷用のPDFとして書き出す機能があり、プランによってはCMYK形式での書き出しにも対応していますが、変換後の色は画面の見た目と同じになるとは限りません。
こうしたソフトで作ったデータを印刷するときは、次の点を意識すると失敗が減ります。
- 鮮やかすぎる色を避け、少し落ち着いた色を選ぶ
- 印刷会社が案内している入稿方法や推奨の書き出し設定を確認する
- 本番の前に、少部数で試し刷りをして色を確かめる
- 色の変化を前提に、黒い文字や大事な情報が読みにくくならないか見ておく
ソフト別の作り方の注意点はPowerPoint・Wordでチラシを作るコツやCanvaでチラシを作るときの注意点でも紹介しています。
CMYKとRGBの変換で知っておきたいこと
RGBからCMYKへの変換は、画像編集ソフトや印刷用のデザインソフトで行えます。変換するときは、「どんな印刷条件を想定するか」を表すカラープロファイルという設定が使われます。日本の一般的なオフセット印刷では、コート紙向けの標準的なプロファイルがよく使われますが、印刷会社によって推奨の設定は異なります。
変換で覚えておきたいのは、一度CMYKに変換して失われた鮮やかさは、RGBに戻しても元には戻らないということです。元の写真やデータはRGBのまま保存しておき、印刷用には別のファイルとして変換したものを使うと安心です。
反対に、印刷用に作ったCMYKのデータをホームページやSNSで使うときは、RGBに変換して書き出すのが基本です。CMYKの画像は、ブラウザやアプリによって色が正しく表示されないことがあります。チラシとWebで同じデザインを使う場合は、それぞれの用途に合わせた形式で書き出しておきましょう。
なお、変換の前後で色がどれくらい変わるかは、画面で並べて見比べると分かります。変化の大きい部分が、チラシの中で目立つ位置にある場合は、色そのものを見直すほうが確実です。
写真の解像度:350dpiの意味と確かめ方
印刷で色と同じくらい大事なのが、写真の解像度です。解像度が足りないと、写真がぼやけたり、ギザギザが目立ったりします。
350dpiとは
dpiは、1インチ(約25.4mm)の中に点がいくつ並ぶかを表す単位です。チラシなどのカラー印刷では、実際に印刷される大きさで350dpi程度あると、きれいに仕上がるとされています。画面で見るWeb用の画像は、これよりずっと少ない点の数で作られていることが多いため、そのまま印刷すると粗く見えます。
必要なピクセル数の目安
350dpiで印刷するのに必要なピクセル数は、「印刷する大きさ(mm)÷25.4×350」で計算できます。主なサイズの目安は次のとおりです。
| 写真を印刷する大きさ | 必要なピクセル数の目安(350dpi) |
|---|---|
| A4全面(210×297mm) | 約2,894×4,093ピクセル |
| A5全面(148×210mm) | 約2,039×2,894ピクセル |
| はがき全面(100×148mm) | 約1,378×2,039ピクセル |
| 名刺ほどの大きさ(91×55mm) | 約1,254×758ピクセル |
確かめ方
写真のピクセル数は、パソコンなら画像ファイルの情報(プロパティ)、スマホなら写真アプリの詳細情報から確認できます。最近のスマホで撮った元の写真なら、多くの場合チラシに使える大きさがあります。ただし、SNSやメッセージアプリで送られてきた画像は、小さく縮められていることがあるので注意しましょう。
大切なのは、「元の画像を後から大きく引き伸ばしても、きれいにはならない」という点です。解像度の数値だけを書きかえても、ピクセル数が増えるわけではありません。写真選びの詳しいコツはチラシの写真の選び方もあわせてご覧ください。
イメージ通りの色に近づける5つのコツ
画面と印刷の色を完全に一致させることはできませんが、ずれを小さくすることはできます。次の5つを意識してみてください。
- 最初からCMYKで作る。印刷用のデザインソフトでは、作り始めからCMYKで色を指定できます。途中で変換するより、色の変化を見ながら調整しやすくなります。
- RGBからCMYKへの変換は自分で確かめる。写真などをRGBからCMYKへ変換するときは、変換後の色を画面で確認し、くすんだ部分を明るさや彩度で調整します。印刷会社任せの自動変換だと、思わぬ色になることがあります。
- 黒の使い方に気をつける。小さな文字は黒インクだけで表すのが基本です。4色を重ねた黒を小さな文字に使うと、版のわずかなずれで文字がにじんで見えることがあります。一方、広い面の黒は、黒インクに他の色を少し混ぜると深みのある黒になります。ただし、インクを重ねすぎると乾きにくくなるため、印刷会社ごとに決められたインクの総量の上限を守りましょう。
- 画面の明るさを見直す。画面の明るさが強すぎると、実際の印刷より明るく見えてしまいます。明るさを少し落とすだけでも、仕上がりの予想がしやすくなります。
- 紙を決めてから色を決める。コート紙か上質紙かで色の出方は変わります。紙を先に決めておくと、その紙に合った色を選べます。
印刷会社によって、推奨するデータ形式やインクの総量の上限、黒の扱いなどの入稿ルールは異なります。入稿前に、利用する印刷会社のガイドを必ず確認しましょう。
色にこだわるなら:色校正と特色
色校正とは
色校正は、本番の印刷の前に、実際の色を紙で確かめる工程です。本番と同じ印刷機と紙で刷る方法と、専用の機械で簡易的に色を出す方法があり、確認の精度と費用が異なります。会社のロゴの色や商品の色など、少しのずれも困る場合は、費用がかかっても色校正を入れる価値があります。
特色とは
特色とは、CMYKの4色を混ぜるのではなく、あらかじめ調合された専用のインクで刷る色のことです。色見本帳の番号で色を指定するのが一般的で、4色では出せない鮮やかな色や、蛍光色、金や銀なども表現できます。
会社のロゴなど、毎回まったく同じ色で刷りたいときにも使われます。ただし、専用のインクと版が必要になるため、通常のカラー印刷より費用は高くなります。チラシでは、ロゴだけを特色にするより、まずは4色の範囲でロゴの色に近い値を決めておく方法が現実的なことも多いです。
色のトラブルを防ぐなら、印刷を知るデザイナーに任せる方法も
ここまで読んで、「自分で全部やるのは大変そう」と感じた方もいるかもしれません。色の変換や解像度の確認、インクの総量の管理は、印刷用のデータづくりに慣れているデザイナーにとっては日常の作業です。データづくりから任せれば、色がくすむ、写真が粗いといったトラブルをあらかじめ防ぎやすくなります。
反響堂では、デザイナー歴22年の個人デザイナーが、印刷を前提にCMYKでデータを作成します。デザイン料は税込でA4片面15,000円から、修正は同じ企画の範囲なら回数無制限です。印刷込みの場合、A4片面1,000部で19,500円(標準納期・コート90kg・送料込み、時期により変動する目安)です。ほかの条件は料金シミュレーターで確認でき、LINEでのご相談も受け付けています。
よくある質問
CMYKとRGBの違いは何ですか?
RGBは赤・緑・青の光を重ねて色を表す方式で、パソコンやスマホの画面で使われます。CMYKはシアン・マゼンタ・イエロー・黒の4色のインクで色を表す方式で、印刷物で使われます。印刷で表せる色の範囲はRGBより狭いため、画面の色がそのまま再現されるわけではありません。
印刷すると色がくすむのはなぜですか?
画面は光で色を表すので明るく鮮やかな色が出せますが、印刷は紙に反射した光を見るため、表せる色の範囲が狭くなります。RGBで作った鮮やかな青や緑、蛍光のような色は、印刷時に表せる範囲の近い色に置きかえられるため、くすんで見えやすくなります。
チラシの写真は何dpiあればいいですか?
実際に印刷する大きさで350dpi程度が目安とされています。たとえばA4全面に写真を使う場合は、約2,894×4,093ピクセルが目安です。小さな画像を後から引き伸ばしたり、数値だけ書きかえたりしても、きれいにはならない点に注意しましょう。