パソコンに入っているパワーポイントやワードでも、チラシは作れます。ただし、画面の上ではきれいに見えても、印刷すると端が白く残る、写真が粗い、色がくすむといった失敗が起きやすいのも事実です。この記事では、パワーポイントを中心に、ワードやエクセルでチラシを作る方法と、最初の設定から印刷用PDFの書き出し、データを渡すときの注意点までを分かりやすく解説します。
結論:チラシの作り方はワードよりパワーポイントがおすすめ
パワーポイントとワード、どっちでチラシを作るべきか迷ったら、パワーポイントを選ぶのがおすすめです。パワーポイントはもともと、文字や図形、写真を画面上の好きな位置に置いて作るソフトなので、チラシのような「自由な配置」に向いています。
一方、ワードは文章を上から順に書いていくためのソフトです。写真や図形を好きな位置に動かそうとすると、文章に押されて位置がずれる、思った場所に置けないといったことが起きやすくなります。文字中心のお知らせなら十分に作れますが、写真を多く使うチラシには少し手間がかかります。
| ソフト | チラシづくりの向き不向き | 向いている内容 |
|---|---|---|
| パワーポイント | 自由に配置でき、図形や写真も扱いやすい | 写真や図形を使ったチラシ全般 |
| ワード | 文章は得意だが、自由な配置には慣れが必要 | 文字中心のお知らせ、案内文 |
| エクセル | 表は得意だが、配置や印刷範囲の調整が難しい | 料金表や時間割など表が主役のもの |
エクセルでチラシを作る方法もありますが、セルの幅や印刷範囲に配置が左右されるため、レイアウトの自由度は高くありません。表を作るのはエクセル、チラシ全体はパワーポイントと分け、エクセルで作った表を貼り付けて使うと作業しやすくなります。
印刷で失敗しないための5つのポイント
- 作り始める前に、用紙サイズを仕上がりの寸法に設定する
- 端まで色を入れるなら、塗り足しの分だけ大きく作る
- 文字は仕上がりの端から内側に余裕をもって置く
- 写真は大きく使う分だけ、十分な画質のものを使う
- 入稿は、元のファイルではなく印刷用のPDFで行うのが基本
最初にやる用紙サイズと余白の設定
パワーポイントでもワードでも、最初に用紙サイズを設定しておくことが大切です。あとからサイズを変えると、配置した文字や写真の位置や大きさが崩れてしまいます。
パワーポイントの場合
- 新しいプレゼンテーションを白紙で作る
- 「デザイン」タブの「スライドのサイズ」から「ユーザー設定のスライドのサイズ」を開く
- 幅と高さを数字で入力する(A4縦なら幅21cm、高さ29.7cm)
- 印刷の向きを「縦」にして決定する
注意したいのは、サイズの一覧にある「A4」をそのまま選ばないことです。バージョンによっては、一覧の「A4」を選んでも実際のA4とは異なる寸法になる場合があります。数字を直接入力しておけば確実です。メニューの名前はバージョンやMac版などで少し異なることがあります。
ワードの場合
- 「レイアウト」タブの「サイズ」で用紙サイズを選ぶ(A4なら210×297mm)
- 「余白」から「ユーザー設定の余白」を開き、上下左右の余白を狭めに設定する
- 写真や図形は「文字列の折り返し」を「前面」などにすると、自由に動かしやすくなる
ワードでは、余白を0にすると「印刷できない範囲に余白が設定されています」といった警告が出ることがあります。家庭用のプリンターでは端まで印刷できないことが多いためです。印刷会社に頼む場合は、次に説明する塗り足しの考え方で作ります。
文字・図形・写真の配置のコツ
パワーポイントでチラシを作るときは、次の機能を使うと、整ったレイアウトにしやすくなります。
- ガイドとグリッド:「表示」タブからガイドやグリッド線を表示すると、配置の目安になる
- 配置機能:複数の図形を選んで「配置」から「左揃え」「上下中央揃え」などを使うと、端がきれいにそろう
- グループ化:写真と説明文など、セットで動かすものはグループにしておく
- テキストボックス:文章は1つの大きな枠に入れず、見出し・本文などかたまりごとに分ける
書体は2種類程度に絞り、色も2〜3色に絞ると、まとまった印象になります。いちばん伝えたいことを大きく、補足の情報は小さくと、はっきり差をつけるのもポイントです。レイアウトの考え方はチラシデザインのコツで詳しく紹介しています。
パワーポイントのテンプレートを使うのも1つの方法です。パワーポイントやワードの新規作成の画面では、チラシ向けのテンプレートを検索できる場合があります。ただし、テンプレートの多くは画面での表示や家庭用プリンターでの印刷を想定しているため、印刷会社に出す場合はサイズや塗り足しを確認し直してください。
塗り足しの付け方と端まで色を入れる方法
背景に色を敷く、写真を紙の端まで入れるといったデザインにする場合は、「塗り足し」が必要です。印刷会社では、大きな紙に印刷してから仕上がりの大きさに断裁します。このとき、わずかなずれで紙の端に白いすじが出ないよう、仕上がりより外側に3mmずつ、背景や写真をはみ出させておきます。これが塗り足しです。
パワーポイントやワードで塗り足しを付けるには、用紙サイズを上下左右3mmずつ大きく設定します。
| 仕上がりサイズ | 仕上がりの寸法 | 塗り足しを含めた設定 |
|---|---|---|
| A4 | 210×297mm | 216×303mm |
| A5 | 148×210mm | 154×216mm |
| B5 | 182×257mm | 188×263mm |
| B4 | 257×364mm | 263×370mm |
このとき、外側の3mmは断裁で切り落とされる部分です。さらに、断裁のずれを考えて、文字やロゴなど切れては困るものは、仕上がりの端から内側に3〜5mm程度入ったところまでに収めます。パワーポイントなら、ガイドを仕上がり線と文字を置ける範囲の位置に引いておくと、作業中も分かりやすくなります。
印刷会社によっては、塗り足しの付け方や、Officeのデータで入稿する場合の決まりを独自に定めていることがあります。入稿前に必ず入稿ガイドを確認しましょう。塗り足しについては塗り足しとトンボの基本でも解説しています。
印刷用PDFの書き出し方
完成したチラシは、パワーポイントやワードのファイルのままではなく、PDFに書き出して入稿するのが基本です。ファイルのまま渡すと、相手のパソコンに同じ書体がなく、文字が別の書体に置きかわってレイアウトが崩れることがあるためです。
- 「ファイル」メニューから「エクスポート」、または「名前を付けて保存」を選ぶ
- ファイルの種類で「PDF」を選ぶ
- 最適化の項目がある場合は、「最小サイズ」ではなく「標準」を選ぶ
- 保存したPDFを開き、全体を拡大して文字や写真の状態を確認する
書き出す前に、画像が自動で圧縮されない設定にしておくのも大切です。Windows版のパワーポイントやワードでは、「ファイル」の「オプション」から「詳細設定」を開くと、「イメージのサイズと画質」の項目で「ファイル内のイメージを圧縮しない」にチェックを入れ、既定の解像度を「高品質を保持」にできます。これで、写真の画質が必要以上に落ちるのを防げます。
ワード・パワポで起きやすいトラブル
パワーポイントやワードで作ったチラシを印刷するときに、よく起きるトラブルと対策をまとめます。
文字化けや書体の置きかわり
PDFにしたはずなのに、一部の文字が別の書体になっている、記号が正しく表示されないといったことがあります。書体によっては、PDFに埋め込むことが許可されていないものがあるためです。PDFを開いて文字を確認し、おかしい部分があれば別の書体に変えてから書き出し直しましょう。機種依存文字と呼ばれる丸付き数字や特殊な記号も、環境によって表示が変わることがあるので注意が必要です。
写真が粗い、ぼやける
画面では気にならなくても、印刷すると写真が粗く見えることがあります。原因の多くは、小さな画像を大きく引き伸ばしていることと、保存時の画像の圧縮です。印刷では、実際に使う大きさで350dpi程度の解像度があるのが一般的な目安です。SNSやホームページから保存した画像は小さいことが多いため、元の写真データを使いましょう。
色がくすむ、画面と違う
パワーポイントやワードは、画面表示用の色の仕組み(RGB)で色を扱います。一方、印刷は4色のインク(CMYK)で色を表現します。印刷時に色が変換されるため、画面で見た鮮やかな青や緑、蛍光のような色は、印刷するとくすんで見えることがあります。色が大切なチラシは、事前に印刷会社のサンプルや試し刷りで確認すると安心です。詳しくはCMYKとRGBの違いをご覧ください。
黒い文字が少しにじむ
黒い文字が、4色のインクを重ねた黒に変換されると、細い文字がわずかににじんで見えることがあります。気になる場合は、印刷会社にOfficeデータの黒の扱いを確認しておきましょう。
データを印刷会社・デザイナーに渡すときの注意
完成したデータを印刷会社に入稿するときや、デザイナーに手直しを頼むときは、次の点に気をつけましょう。
- 印刷会社には、入稿ガイドに沿ったPDFを渡す。Officeのデータで受け付けるかどうかは会社によって異なる
- 仕上がりサイズ、片面か両面か、塗り足しの有無を伝える
- デザイナーに手直しを頼む場合は、元のファイルとPDFの両方、使った写真の元データも渡す
- 使っている書体の名前を伝えておくと、相手の環境で再現しやすくなる
- 電話番号や住所、料金などは、最後に必ず見直す
自分で作ったチラシを元に、デザイナーに整えてもらう方法もあります。載せる内容や配置の案がすでにできていれば、それをもとに印刷用のデータに作り直してもらえるため、ゼロから依頼するより話が早く進みます。
パワーポイントのチラシを反響堂で仕上げる
反響堂では、デザイナー歴22年の個人デザイナーが直接担当し、パワーポイントやワードで作ったチラシの案や、手書きのメモをもとに、印刷用のデータとして仕上げます。デザイン料は税抜でA4片面15,000円、A5片面10,000円などのサイズ別の定額で、同じ企画の範囲なら修正は回数無制限です。印刷込みの場合、A4片面1,000部で19,100円(標準納期・コート90kg・送料込み、時期により変動する目安)です。ほかのサイズは料金シミュレーターで確認でき、作りかけのデータを見ながらのご相談もLINEで受け付けています。
よくある質問
チラシはワードとパワポのどっちで作るのがよいですか?
写真や図形を好きな位置に置きたいなら、パワーポイントのほうが作りやすいです。ワードは文章中心のお知らせに向いています。どちらで作る場合も、最初に用紙サイズを仕上がりの寸法に設定しておくことが大切です。
パワーポイントで作ったチラシは印刷会社に入稿できますか?
多くの場合、PDFに書き出せば入稿できます。ただし塗り足しの付け方やOfficeデータの扱いは印刷会社によって決まりが異なるため、入稿ガイドを事前に確認してください。
パワーポイントで作ったチラシの写真が粗くなるのはなぜですか?
小さな画像を引き伸ばしていることや、保存時に画像が自動で圧縮されていることが主な原因です。元の写真データを使い、オプションで画像を圧縮しない設定にしてからPDFに書き出すと改善しやすくなります。