Canvaは、テンプレートを選んで文字や写真を入れ替えるだけで、見栄えのよいチラシが作れる便利なツールです。ところが、画面ではきれいに見えていたのに、印刷したら端に白いフチが出た、色がくすんだ、写真が粗くなった、という声も少なくありません。この記事では、Canvaでチラシを作って印刷するまでの手順と、印刷用の設定で失敗しないための注意点を、順番に解説します。
結論:Canvaは便利だが「印刷用の設定」を忘れると失敗する
Canvaでチラシを作ること自体は、それほど難しくありません。テンプレートを選び、文字と写真を入れ替えれば、形にはなります。つまずきやすいのは、そのデータを印刷会社に入稿する段階です。
画面で見るためのデータと、印刷するためのデータでは、必要な条件が違います。Canvaでチラシを印刷するときに押さえたいのは、次の4つです。
- 仕上がりサイズを正しく設定する
- 塗り足しを表示し、背景を外側まで伸ばす
- 「PDF(印刷)」で、トンボと塗り足しを付けて書き出す
- 画像の画質と、色の変化を確認する
この記事の要点
- 最初に仕上がりサイズ(A4なら210×297mm)でデザインを作る
- 塗り足しを表示し、背景や写真は塗り足しの端まで広げる
- 書き出しは「PDF(印刷)」を選び、トンボと塗り足しを付ける
- 画面の色は印刷で少し変わるため、鮮やかな色ほど注意する
- テンプレートや素材は、利用ルールの範囲で使う
Canvaでチラシを作る手順
Canvaでのチラシの作り方を、印刷を前提にした順番で紹介します。画面の表示や項目名は、Canvaの更新によって変わることがあります。
- サイズを決めて新しいデザインを作る:「カスタムサイズ」で単位をmmにし、仕上がりサイズを入力します。A4なら210×297mm、A5なら148×210mmです。チラシ用のテンプレートから始める場合も、サイズが印刷したいサイズと合っているか確認しましょう。
- 塗り足しを表示する:メニューの「ファイル」から、印刷の塗り足しを表示する設定をオンにします。デザインの外側に、塗り足しの範囲が表示されます。
- テンプレートを選ぶ、またはレイアウトを決める:テンプレートを使う場合は、自分の業種や伝えたい内容に近いものを選びます。
- キャッチコピーと本文を入れる:いちばん伝えたいことを大きく、上のほうに置きます。
- 写真を入れる:自分で撮った写真をアップロードするか、素材から選びます。背景として使う写真は塗り足しの端まで広げます。
- 店名・連絡先・地図などを入れる:切れては困る情報は、端から十分内側に置きます。
- 誤字と情報の確認をする:電話番号、営業時間、日付、料金などを、印刷前に必ず見直します。
- PDF(印刷)で書き出す:書き出しの設定は、後の章で詳しく説明します。
チラシに載せる内容や順番に迷ったときは、反響が出るチラシの作り方も参考にしてください。
印刷用に必要な設定(サイズ・塗り足し・トンボ)
サイズ:仕上がりサイズで作る
Canvaでは、デザインは仕上がりサイズで作り、塗り足しは表示の設定で外側に追加する形になります。A4のチラシなら、デザインのサイズは210×297mmのままで構いません。塗り足しを含めた216×303mmで作ってしまうと、書き出しのときにさらに塗り足しが付き、サイズがずれる原因になります。
| チラシのサイズ | Canvaで設定する仕上がりサイズ | 塗り足しを含めた書き出しサイズ |
|---|---|---|
| A5 | 148×210mm | 154×216mm |
| B5 | 182×257mm | 188×263mm |
| A4 | 210×297mm | 216×303mm |
| B4 | 257×364mm | 263×370mm |
| A3 | 297×420mm | 303×426mm |
塗り足し:背景を外側まで広げる
Canvaの塗り足しは、表示をオンにしただけでは効果がありません。背景の色や写真を、表示された塗り足しの線の外側まで広げて初めて意味があります。テンプレートによっては、背景の図形が仕上がりサイズぴったりで作られていることもあるため、四すみを拡大して確認しましょう。
反対に、文字やロゴ、QRコードは、仕上がり線から3mm以上、できれば5mm程度内側に置きます。断裁のわずかなずれで、端の文字が切れるのを防ぐためです。塗り足しの考え方は塗り足しとトンボの解説で詳しく説明しています。
トンボ:書き出しのときに付ける
トンボは、どこで紙を切るかを示す目印です。Canvaでは、PDF(印刷)で書き出すときにチェックを入れると、塗り足しと一緒に付けられます。ただし、印刷会社によっては「トンボなし・塗り足しあり」のデータを求めるところもあります。入稿先の案内に合わせて選んでください。
CanvaでPDF(印刷)として書き出す方法
CanvaのデータをPDFにして印刷会社に入稿するときは、次の手順で書き出します。
- 画面右上の「共有」から「ダウンロード」を選ぶ
- ファイルの種類で「PDF(印刷)」を選ぶ
- 「トンボと塗り足し」にチェックを入れる(入稿先がトンボ不要なら、案内に従う)
- プランによっては、カラープロファイルでCMYKを選べる場合があるため、入稿先の指定に合わせる
- ダウンロードしたPDFを開き、サイズと四すみを確認する
「PDF(標準)」は画面で見たり、メールで送ったりするための形式で、印刷用には向いていません。Canvaで印刷用のPDFを作るときは、必ず「PDF(印刷)」を選びましょう。
書き出したPDFは、そのまま入稿する前に一度開いて確認します。背景が塗り足しの端まで届いているか、文字が切れる位置にないか、写真が荒れていないかを、画面を拡大して見ておくと安心です。
色が変わる・画像が粗いときの対処
印刷すると色がくすんで見える
パソコンやスマホの画面は、光の3色(RGB)で色を表示しています。一方、印刷はインクの4色(CMYK)で色を表現します。CMYKで表現できる色の範囲はRGBより狭いため、画面で見た鮮やかな色が、印刷ではややくすんで見えることがあります。
特に変わりやすいのは、鮮やかな青や緑、蛍光のような明るい色です。対策としては、次のような方法があります。
- CMYKで書き出せる場合は、書き出し後のPDFで色の見え方を確認する
- 大事な色は、極端に鮮やかな色を避けて選ぶ
- 大量に刷る前に、少ない部数で試し刷りをする
色の仕組みはCMYKとRGBの違いで詳しく解説しています。
写真やイラストが粗く印刷される
画面ではきれいに見えていても、印刷すると写真がぼやけたり、ギザギザに見えたりすることがあります。原因の多くは、画像の解像度が足りないことです。印刷物では、実際に印刷する大きさで350dpi程度の解像度があると安心とされています。
- SNSやLINEで送られてきた写真は、画質が落ちていることがあるため、元の写真を使う
- 小さな画像を大きく引き伸ばさない
- ロゴは、できるだけ元のデータ(高解像度の画像やPDFなど)を使う
文字がにじむ・細い線が見えにくい
細い書体や小さな文字、細い線は、印刷すると見えにくくなることがあります。特に、濃い色の背景に白い細い文字をのせる「白抜き文字」は、つぶれやすくなります。本文は読みやすい太さの書体を選び、小さくしすぎないようにしましょう。
テンプレートと素材の利用ルール(商用利用・ロゴ)
Canvaのテンプレートや写真、イラストなどの素材は、Canvaのライセンスの範囲で使うことができます。お店や会社のチラシに使うような一般的な商用利用は認められている素材が多いのですが、いくつか注意したい点があります。
- ロゴには使わない:Canvaの素材を使ってロゴを作り、商標として登録することには制限があります。お店の顔になるロゴは、オリジナルで作るのが安心です。
- テンプレートをほぼそのまま売らない:テンプレートや素材をほとんど手を加えずに、印刷物やデータとして販売することは認められていない場合があります。
- 有料素材はプランを確認する:有料プラン向けの素材は、プランの契約状況によって使える条件が変わります。
- 人物写真の使い方に気をつける:人物が写った素材を、誤解を招く形や、その人の印象を損なう形で使うことは避けます。
- 他人の写真やキャラクターを持ち込まない:インターネットで見つけた画像や、有名なキャラクターを勝手に使うのは、著作権などの問題になります。
もうひとつ気をつけたいのが、テンプレートは多くの人が使っているという点です。同じ地域の別のお店が同じテンプレートを使っていると、チラシの印象が似てしまい、覚えてもらいにくくなります。色や写真、レイアウトを自分のお店に合わせて変えると、オリジナル感が出ます。
本記事は一般的な情報で、法的助言ではありません。最新の制度・個別の判断は公式情報や専門家にご確認ください。Canvaの利用条件は変更されることがあるため、詳しくはCanvaの公式のライセンス規約を確認してください。
Canvaのデータをデザイナーに仕上げてもらう方法
「自分で途中まで作ったけれど、印刷用の設定に自信がない」「どうしても素人っぽさが抜けない」という場合は、途中まで作ったデータをデザイナーに渡して仕上げてもらう方法もあります。
渡し方の選択肢
| 渡し方 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| Canvaの共有リンク | デザイナーに編集できる形で共有する | デザイナーもCanvaで作業できる場合 |
| PDFや画像 | 完成イメージとして書き出して渡す | レイアウトの方向性を伝えたい場合 |
| 文章と写真の素材 | テキストと元の写真を別に渡す | デザインを一から作り直してもらう場合 |
Canvaのデータは、ほかのデザインソフトでそのまま編集するのが難しいことが多いため、デザイナーが自分のソフトで作り直す形になるのが一般的です。その場合でも、Canvaで作った下書きは「載せたい情報」と「イメージ」を伝える材料として十分に役立ちます。
渡すときは、文章のテキストデータ、元の画質の写真、ロゴのデータ、印刷サイズと部数、配布の時期をあわせて伝えると、やり取りがスムーズです。自分で作るか、プロに任せるかの判断は自作とプロへの依頼の比較も参考にしてください。
Canvaの下書きから仕上げる反響堂のチラシ制作
反響堂では、デザイナー歴22年の個人デザイナーが直接担当し、Canvaで作った下書きや手書きのメモからでもチラシを仕上げています。塗り足しやトンボなど印刷用の設定も整えたうえで納品します。デザイン料は税抜でA4片面15,000円、A5片面10,000円などサイズごとの定額で、印刷込みならA4片面1,000部で19,100円(標準納期・コート90kg・送料込み、時期により変動する目安)です。ほかの条件は料金シミュレーターで確認でき、LINEでの相談も受け付けています。
よくある質問
Canvaで作ったチラシは印刷会社に入稿できますか?
多くの場合、入稿できます。仕上がりサイズでデザインを作り、塗り足しを表示して背景を外側まで広げ、「PDF(印刷)」で書き出すのが基本です。トンボの有無やカラー設定は、入稿先の案内に合わせてください。
Canvaで塗り足しを付けるにはどうすればよいですか?
メニューの「ファイル」から印刷の塗り足しを表示する設定をオンにし、背景や写真を塗り足しの線の外側まで広げます。書き出しのときは「PDF(印刷)」を選び、「トンボと塗り足し」にチェックを入れます。
Canvaのテンプレートで作ったチラシをお店の宣伝に使ってもよいですか?
一般的なお店や会社の宣伝用チラシに使うことは、多くの素材で認められています。ただし、素材をロゴとして商標登録することや、テンプレートをほぼそのまま販売することには制限があります。詳しくはCanvaの公式のライセンス規約を確認してください。