人手不足が続くなか、「求人を出しても応募が来ない」「説明会に来た人が、その後の選考に進んでくれない」と悩む会社は少なくありません。採用パンフレットは、そんなときに会社の魅力を手元に残る形で伝えられる採用ツールです。この記事では、会社案内との違い、新卒向けと中途向けの構成、載せたい内容、社員インタビューと写真のコツ、求人表示のルール、説明会やWebとの連携までを解説します。
結論:採用パンフレットは「働く自分を想像できるか」で選ばれる
採用パンフレットの役割は、会社の立派さを伝えることではありません。読んだ人が「この会社で、この人たちと、こんな仕事をしている自分」を具体的に想像できるようにすることです。
求職者は、給与や休日といった条件だけで会社を選んでいるわけではありません。どんな人が働いているのか、1日をどう過ごすのか、入社後にどう成長できるのか。こうした「働くイメージ」がわいた会社ほど、応募や選考に進んでもらいやすくなります。入社案内のパンフレットも同じで、条件を並べるより、働く姿を見せることが大切です。
この記事の要点
- 採用パンフレットは会社案内とは読み手も目的も違う
- 新卒向けは「成長と安心」、中途向けは「仕事の中身と条件」を厚めにする
- 仕事・人・制度・1日の流れの4つを軸に構成する
- 社員の声と写真は、実際の姿をそのまま伝えるのが基本
- 求人の表示にはルールがあり、事実と違う表示や差別的な条件は避ける
採用パンフレットと会社案内の違い
採用パンフレットと会社案内は、似ているようで目的が違います。違いを表にまとめました。
| 比べる点 | 会社案内 | 採用パンフレット |
|---|---|---|
| 主な読み手 | 取引先、お客様、金融機関など | 学生、転職を考えている人 |
| 目的 | 会社を信頼してもらう | 一緒に働きたいと思ってもらう |
| 中心になる内容 | 事業内容、実績、会社概要 | 仕事の中身、社員、働き方、制度 |
| 語り口 | 客観的で落ち着いた表現 | 社員の声を中心にした、親しみのある表現 |
小さな会社では、会社案内に採用のページを加えて兼用することもあります。ただし、採用に力を入れたい時期なら、求職者向けに内容を組み直した専用のパンフレットを作るほうが伝わりやすくなります。会社案内の作り方は会社案内パンフレットの作り方で紹介しています。
新卒向けと中途向けの構成の違い
採用パンフレットの構成は、誰に向けるかで変わります。
新卒向け:成長と安心を伝える
社会人経験のない学生にとって、いちばんの不安は「自分にできるだろうか」ということです。仕事の全体像を分かりやすく説明し、研修や先輩のサポート、入社数年後の姿などを厚めに載せると安心感につながります。年の近い若手社員の声は、特に読まれやすいページです。
また、学生は会社の名前や業界をよく知らないことも多いため、「この会社の仕事が、身近な暮らしのどこにつながっているか」を具体例で示すと、興味を持ってもらいやすくなります。専門用語はなるべく使わず、使う場合はやさしい言葉で説明を添えましょう。
中途向け:仕事の中身と条件を具体的に
転職を考えている人は、これまでの経験と比べながら読みます。担当する業務の範囲、チームの体制、評価の仕組み、働き方など、具体的な情報を求めています。中途で入社した社員が「なぜこの会社を選んだか」を語るページがあると、判断の材料になります。
中途向けでは、入社後の最初の数か月をどう過ごすかも気になる点です。業務の引き継ぎや相談できる相手など、受け入れの体制が分かると、転職への不安を和らげることができます。
採用パンフレットに載せたい内容
採用パンフレットの構成は、「仕事・人・制度・1日の流れ」の4つを軸にすると整理しやすくなります。一般的な構成の例は次のとおりです。
- 表紙:会社の雰囲気が伝わる写真と、求職者へのメッセージ
- 代表メッセージ:会社が目指していること、どんな人と働きたいか
- 事業と仕事の紹介:会社が何をしていて、社会にどう役立っているか。職種ごとの仕事内容
- 社員インタビュー:職種や年代の違う社員の声
- 1日の流れ:出社から退社までのスケジュール例
- 制度と働き方:研修、休日、福利厚生、キャリアの道すじ
- 数字で見る会社:社員数、平均年齢など、事実にもとづく数字
- 募集要項と選考の流れ:応募方法、問い合わせ先
ページ数に限りがある場合は、社員インタビューと仕事の紹介を優先しましょう。募集要項のように変わりやすい情報は、パンフレット本体に載せず、差しかえやすい別紙にしておくと、年度が変わっても使い続けられます。
採用パンフレットの作り方の手順
採用パンフレットは、次の順番で進めると、途中で迷いにくくなります。
- 採用したい人物像を決める。職種、経験の有無、大切にしてほしい価値観など、「どんな人に来てほしいか」を社内で話し合って言葉にします。
- 自社の魅力を洗い出す。社員に「この会社で働いていてよかったこと」を聞いてみると、経営者が気づいていない魅力が見つかることがあります。
- 構成とページ数を決める。伝えたい内容に優先順位を付け、ページの割り振りを決めます。
- 取材と撮影をする。社員インタビューや職場の撮影を行います。撮影日は、職場がふだんどおりに動いている日を選ぶと自然な写真になります。
- 原稿を書き、デザインする。原稿をまとめ、写真と合わせてレイアウトします。
- 社内で確認して印刷する。数字や制度の内容に間違いがないか、登場する社員の了解が取れているかを確認してから印刷に進みます。
全体の期間は、取材や社内確認の進み方によって変わりますが、ページ数の多いものほど余裕を持った計画が必要です。説明会や採用の開始時期から逆算して、早めに動き始めましょう。
社員インタビューと写真の撮り方
インタビューは「きっかけ」と「具体的な場面」を聞く
社員インタビューでは、「入社のきっかけ」「今の仕事でやりがいを感じた具体的な場面」「大変だったことと、どう乗り越えたか」「求職者へのひとこと」を聞くと、読み応えのある記事になります。良いことだけでなく、大変なことも正直に書くほうが、かえって信頼されます。
取材の前に質問を本人に渡しておくと、答えを考える時間ができ、具体的な話が出てきやすくなります。話した言葉をそのまま文字にすると読みにくくなるため、意味を変えない範囲で整えたうえで、掲載前に本人に内容を確認してもらいましょう。
写真は「働いている姿」を中心に
写真は、きれいに並んだ集合写真より、実際に仕事をしている姿や、同僚と話している自然な表情のほうが働くイメージを伝えます。職場の明るさや雰囲気も大切なので、できれば明るい時間に、片付いた状態で撮影しましょう。
写真を印刷に使う場合は、スマホでも最高画質で撮影し、元のデータを使うようにします。表紙や見開きに大きく使う写真は、特に解像度が足りているかを確認しておくと安心です。
社員の写真や名前を載せるときは、本人の了解を得ることが欠かせません。パンフレットは長く配るものなので、退職した場合の扱いも事前に決めておくと安心です。
求人の表示ルールで気をつけたいこと
採用パンフレットも、求人に関わる情報を載せる以上、表示のルールに気をつける必要があります。基本的な考え方は次のとおりです。
- 給与や休日、勤務地などの条件は、事実と違う内容や誤解を招く書き方をしない
- 「月給◯万円以上可能」などの表示は、どんな条件でその金額になるかを分かるようにする
- 性別を限定した募集や、年齢を制限した募集は、法律で認められた例外を除いて原則として禁止されている
- 情報が古くならないよう、条件を変えたときは内容を更新する
求人に関わる表示は、職業安定法、男女雇用機会均等法、労働施策総合推進法などで基本的なルールが定められています。具体的な書き方に迷うときは、ハローワークなどの公的な窓口や専門家に確認しましょう。
本記事は一般的な情報で、法的助言ではありません。最新の制度・個別の判断は公式情報や専門家にご確認ください。
説明会・面接での使い方とWebとの連携
採用パンフレットは、作って終わりではなく、使う場面を決めておくことで力を発揮します。
- 会社説明会:話を聞いたあとに持ち帰って読み返してもらえるよう、説明の流れとパンフレットの構成をそろえる
- 面接:面接の前に渡しておくと、会社への理解が深まった状態で話ができる
- 家族への説明:特に新卒採用では、ご家族が会社を知る資料としても読まれる
- 合同説明会や学校:ブースで配ったり、学校の就職窓口に置いてもらったりする
Webとの連携も欠かせません。パンフレットに採用ページや応募フォームのQRコードを載せておけば、読んだその場で詳しい情報を見たり、応募したりできます。紙には会社の雰囲気と働くイメージ、Webには最新の募集要項と詳しい情報、というように役割を分けると、どちらも無理なく更新できます。求人チラシとの使い分けは求人チラシの作り方も参考にしてください。
反響堂で採用パンフレットを作る場合
反響堂では、デザイナー歴22年の個人デザイナーが採用パンフレットの制作を直接担当します。デザイン料は税込でA4二つ折り・三つ折り35,000円、A4中綴じ8ページ60,000円、12ページ85,000円などの定額で、修正は同じ企画の範囲なら回数無制限です。会社案内・採用パンフレットの制作については会社案内パンフレットの制作で紹介しています。構成や載せる内容が決まっていない段階でも、LINEでお気軽にご相談ください。
よくある質問
採用パンフレットと会社案内は何が違いますか?
会社案内は取引先やお客様に会社を信頼してもらうための資料で、事業内容や実績が中心です。採用パンフレットは学生や転職を考えている人に一緒に働きたいと思ってもらうための資料で、仕事の中身、社員の声、働き方や制度が中心になります。
採用パンフレットにはどんな内容を載せればいいですか?
代表メッセージ、事業と仕事の紹介、社員インタビュー、1日の流れ、研修や休日などの制度、数字で見る会社、募集要項と選考の流れが基本です。変わりやすい募集要項は別紙にすると、年度が変わってもパンフレット本体を使い続けられます。
採用パンフレットで気をつけたい表示のルールはありますか?
給与や休日などの条件を事実と違う内容や誤解を招く形で書かないこと、性別を限定した募集や合理的な理由のない年齢制限をしないことが基本です。求人の表示は職業安定法などでルールが定められているため、迷うときは公的な窓口や専門家に確認しましょう。