会社案内や商品案内、施設の紹介など、パンフレットを作ることになったものの「何から手をつければいいのか分からない」という方は少なくありません。パンフレットの作り方は、いきなりデザインを始めるのではなく、目的と構成を先に決めるのが近道です。この記事では、構成案の作り方からデザイン、印刷の仕様決めまでを7つの手順に分けて、A4サイズでの構成例もまじえながら解説します。
結論:パンフレットの作り方は「読む順番の設計」で9割決まる
パンフレットの作り方で最も大切なのは、デザインの上手さよりも「どの順番で、何を読んでもらうか」を先に決めることです。チラシが1枚で一気に伝える媒体なのに対して、パンフレットは表紙をめくり、中を開き、裏を返すという動きの中で少しずつ情報を受け取ってもらう媒体です。
そのため、ページごとの役割があいまいなまま作り始めると、「どこに何が書いてあるのか分からない」「結局なにをすればいいのか伝わらない」パンフレットになりがちです。反対に、読む順番がきちんと設計されていれば、デザインが凝っていなくても内容はしっかり伝わります。
パンフレットは、大まかに次の7つの手順で作ります。
- 目的・渡す相手・渡す場面を決める
- 形式(二つ折り・三つ折り・中綴じ冊子など)を選ぶ
- ページ構成(台割)を作る
- 原稿と写真をそろえる
- デザインを作る
- 印刷仕様(紙・部数・納期)を決める
- 校正して入稿・印刷する
以下、この順番に沿ってポイントを見ていきます。
手順1:最初に決める3つ(目的・渡す相手・渡す場面)
パンフレットの構成を考える前に、まず次の3つを言葉にしておきましょう。ここがぶれると、後の工程で何度も迷うことになります。
目的:読んだ人に何をしてほしいか
「会社を知ってもらう」だけでは目的としてはあいまいです。「問い合わせをしてもらう」「見学の予約をしてもらう」「商品の違いを理解して選んでもらう」のように、読み終えた人に取ってほしい行動まで決めておくと、最後のページに何を置くべきかがはっきりします。
渡す相手:誰が読むのか
同じ会社案内でも、取引先の担当者に渡すのか、就職を考える学生に渡すのかで、載せるべき内容はまったく変わります。相手の年代や、どの程度の予備知識があるかも考えておきましょう。年配の方が多いなら文字を大きめに、専門知識のない方が多いなら用語の説明を入れる、といった判断につながります。
渡す場面:どこで手に取られるのか
営業の場で説明しながら手渡すのか、店頭やカウンターのラックに置いて自由に持ち帰ってもらうのか、郵送するのかによって、向いている形式や表紙の作り方が変わります。ラックに置くなら、表紙だけで内容が分かることが何より重要です。郵送するなら、封筒に入る大きさや重さも考える必要があります。
最初に書き出しておきたいこと
- 目的:読み終えた人に取ってほしい行動を1つ
- 相手:年代・立場・予備知識の有無
- 場面:手渡し・設置・郵送・イベント配布など
- 部数と配り終えるまでの期間の見込み
手順2:形式を選ぶ(二つ折り・三つ折り・中綴じ冊子)
パンフレットには、1枚の紙を折って作る「折りパンフレット」と、複数の紙を重ねて綴じる「冊子」があります。載せたい情報の量と、使う場面から選びます。
| 形式 | ページ数(面数) | 向いている内容 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 二つ折り | 4ページ | 会社案内の簡易版、サービス紹介、イベント案内 | 見開きで大きく見せられる。構成がシンプルで作りやすい |
| 三つ折り(巻き三つ折り) | 6面 | 商品・サービス案内、施設案内、料金表つきの案内 | 開く順番に沿って情報を展開できる。ラックにも入れやすい |
| Z折り(外三つ折り) | 6面 | 手順や流れの説明、地図つきの案内 | 一気に広げて全体を見せやすい |
| 中綴じ冊子 | 8ページ以上(4の倍数) | 会社案内、学校・施設案内、商品カタログ | 情報量が多くても整理しやすく、しっかりした印象になる |
中綴じ冊子は、紙を重ねて二つに折り、中央をホチキスのような針金で留める製本方法です。1枚の紙から表裏で4ページ分ができるため、ページ数は必ず4の倍数(8・12・16ページなど)になります。「10ページ分の内容がある」という場合は、12ページにして余裕を持たせるか、8ページに絞るかを考えることになります。
迷ったときの目安としては、伝えたいことが「サービスの概要と連絡先」程度ならA4二つ折りか三つ折り、会社の歴史や事業内容、スタッフ紹介、事例まで載せたいなら中綴じ冊子、と考えると判断しやすくなります。サイズと折り方の詳しい比較はパンフレットのサイズと折り方の選び方で紹介しています。
手順3:ページ構成(台割)の作り方と構成例
形式が決まったら、どのページに何を載せるかを一覧にした「台割(だいわり)」を作ります。台割はパンフレットの設計図で、構成案と呼ばれることもあります。紙に四角を並べて描くだけでも十分です。
台割を作る手順
- 載せたい情報を思いつく限り書き出す
- 「必ず載せるもの」「できれば載せたいもの」「なくても困らないもの」に分ける
- 読む人が知りたい順番に並べ替える
- ページ(面)ごとに割り振り、1ページに1テーマを基本にする
- 各ページの見出しを仮で書いておく
ポイントは、作り手が言いたい順番ではなく、読む人が知りたい順番に並べることです。多くの場合、「これは何か」「自分にどんな関係があるか」「なぜ信頼できるか」「どうすればいいか」という流れにすると、無理なく読み進めてもらえます。
A4三つ折りの構成例
A4三つ折りは、開く順番が決まっているのが特徴です。一般的な巻き三つ折りの場合、次のような構成がよく使われます。
- 表紙:名称と「誰のための何か」が分かるひと言、印象を決める写真
- 表紙をめくった面(内側に折り込まれる面):悩みへの共感や、選ばれる理由の要約
- 中面の見開き3面:サービス内容・特徴・料金や流れなど本題
- 裏表紙:会社概要・地図・連絡先・問い合わせ方法
巻き三つ折りでは、内側に折り込まれる面の幅を2〜3mmほど短くするのが一般的です。同じ幅にすると、折ったときに紙が引っかかってきれいに閉じません。自分でデータを作る場合は注意が必要なポイントです。詳しくは三つ折りパンフレットの作り方をご覧ください。
A4中綴じ8ページの構成例
- 1ページ(表紙):名称・キャッチコピー・メイン写真
- 2〜3ページ:ごあいさつ、理念、選ばれる理由
- 4〜5ページ:事業内容・サービス・商品の紹介
- 6〜7ページ:事例、お客様との関わり、スタッフ紹介、よくある質問
- 8ページ(裏表紙):会社概要・沿革・地図・連絡先
冊子の場合は、2〜3ページ、4〜5ページのように「見開き」で1つのテーマを扱うと、読みやすくまとまりのある印象になります。
手順4:原稿と写真をそろえるコツ
パンフレット作りで時間がかかりやすいのが、原稿と写真の準備です。デザインを始めてから「やっぱりこの文章も入れたい」となると、レイアウトを大きく組み直すことになるため、できるだけ先にそろえておきましょう。
原稿は「見出し+短い本文」で書く
パンフレットの文章は、じっくり読まれるとは限りません。多くの人は見出しと写真を目で追い、気になったところだけ本文を読みます。各ページの見出しだけを拾い読みしても内容の流れが分かるように書くのがコツです。本文は1段落を3〜4行程度にまとめ、専門用語はできるだけ言い換えます。
写真はできるだけ自前で用意する
素材サイトの写真は便利ですが、会社やお店の雰囲気は伝わりにくくなります。外観、内観、作業風景、スタッフの表情など、実際の写真があるだけで信頼感は大きく変わります。スマホで撮影する場合も、明るい時間帯に、水平を意識して、同じ場面を複数枚撮っておくと選びやすくなります。印刷に使う写真は、仕上がりサイズで350dpi程度の解像度が目安です。SNS用に小さく加工された画像は、印刷すると粗くなることがあります。
用意しておきたいものリスト
- ロゴデータ(できれば元のデータ)
- 会社概要(名称・所在地・電話番号・営業時間・設立年など)
- 各ページの原稿(箇条書きのメモでも可)
- 写真(外観・内観・商品・スタッフなど)
- 地図に載せたい目印や最寄り駅の情報
- 参考にしたい他のパンフレットやイメージ
スタッフやお客様が写った写真を使う場合は、掲載について本人の了承を得ておきましょう。ネットで見つけた画像や、利用規約を確認していない素材を使うのも避けてください。
手順5:デザインの進め方(表紙・中面・裏表紙の役割)
原稿と写真がそろったら、いよいよデザインです。パンフレットのデザインでは、面ごとの役割を意識すると迷いにくくなります。
表紙:手に取ってもらう
表紙の役割は、「誰のための、何のパンフレットか」を一瞬で伝え、手に取ってもらうことです。名称だけでなく、対象や内容が分かる短いひと言を添えましょう。写真は1枚を大きく使うほうが、複数を小さく並べるより印象に残りやすくなります。
中面:理解してもらう
中面は本題を伝える場所です。見出し、写真、本文の配置ルールをページ間でそろえると、全体に統一感が生まれ、読む人も迷わなくなります。文字の書体は2〜3種類まで、色はメインの色とアクセントの色を決めて、それ以外はあまり増やさないのが基本です。
裏表紙:行動してもらう
裏表紙には、問い合わせ先、地図、営業時間、ホームページやSNSへの案内などをまとめます。読み終えた人が「では連絡してみよう」と思ったときに、迷わず行動できる情報がそろっているかを確認しましょう。
ワードやパワーポイントで作る場合の注意点
ワード(Word)やパワーポイント(PowerPoint)でもパンフレットは作れます。社内で少部数を家庭用やオフィスのプリンターで刷るなら、十分に役立ちます。ただし、印刷会社に依頼する場合は注意が必要です。
- 仕上がりサイズより上下左右3mmずつ大きく背景を伸ばす「塗り足し」を用意しにくい
- 画面の色(RGB)で作られるため、印刷(CMYK)すると色味が変わることがある
- フォントが正しく埋め込まれていないと、文字化けや書体の置き換わりが起こる
印刷会社によってはワードやパワーポイントのデータ入稿に対応していますが、PDFに書き出してからの入稿を求められることが多いです。入稿のルールは印刷会社ごとに確認しましょう。デザインの具体的なコツはパンフレットデザインのコツで詳しく解説しています。
手順6・7:印刷仕様(紙・部数・納期)を決めて校正・入稿する
デザインと並行して、印刷の仕様も決めておきます。仕様によって費用と納期が変わるため、早めに見当をつけておくと安心です。
紙の種類と厚さ
パンフレットでよく使われるのは、写真が鮮やかに出るコート紙と、光沢を抑えて落ち着いた印象になるマット紙です。折りパンフレットなら、薄すぎると頼りなく、厚すぎると折り目が割れやすくなるため、一般的な厚さから選ぶのが無難です。中綴じ冊子では、表紙だけ厚い紙にする方法もあります。
部数と印刷方式
数十部〜数百部程度ならオンデマンド印刷、まとまった部数ならオフセット印刷が選ばれることが多いです。一般に、部数が多いほど1部あたりの単価は下がります。ただし、内容が変わりやすい場合は、一度に大量に刷ると使い切れずに無駄になることもあります。半年から1年で使い切れる部数を目安にするとよいでしょう。
納期
印刷は、入稿してから数営業日かかるのが一般的で、折りや製本の加工があるとさらに日数が必要になることがあります。展示会やイベントで使う場合は、使う日から逆算して、デザイン・校正・印刷・配送の日数を見込んでおきましょう。費用の目安はパンフレット制作の費用相場で紹介しています。
校正して入稿・印刷する(手順7)
印刷に進む前の最終確認が校正です。いったん印刷してしまうと修正はできないため、ここは時間をかけて確認しましょう。
- 電話番号・住所・URL・営業時間などの数字を1文字ずつ確認する
- 会社名、人名、商品名の表記がそろっているか確認する
- 実寸で印刷して、文字の大きさや読みやすさを確かめる
- 紙に出して実際に折り、ページの順番や向きが正しいか確かめる
- 作った人以外の人にも読んでもらう
特に折りパンフレットは、画面上では正しく見えても、折ってみると面の順番が違っていたということが起こりやすいので、紙で試すのがおすすめです。
パンフレットの作り方のコツ:自作とプロ依頼、どちらが向いているか
最後に、自作とプロへの依頼のどちらが向いているかを整理しておきます。
| こんな場合 | 向いている方法 |
|---|---|
| 社内用・少部数で、プリンターで刷れば足りる | 自作(ワードやテンプレートの活用) |
| 内容が頻繁に変わり、すぐに直したい | 自作 |
| 取引先や新しいお客様に渡す、会社の顔になる | プロ依頼 |
| 印刷会社に入稿して数百部以上刷る | プロ依頼 |
| 構成をどうまとめればいいか分からない | プロ依頼(構成から相談できる依頼先) |
自作の強みは、費用を抑えられ、内容をすぐに直せることです。一方、パンフレットは長く手元に残り、会社やお店の印象を左右する媒体です。外部の方に渡すものや、まとまった部数を印刷するものは、プロに任せたほうが結果的に手間も費用も抑えられることがあります。自作する場合でも、この記事の手順1〜3(目的・形式・台割)まで自分で固めておけば、仕上がりは大きく変わります。
パンフレットの作り方のまとめ
- 最初に目的・相手・場面を決める
- 情報量と使い方に合わせて形式を選ぶ
- 台割で「読む順番」を設計してからデザインする
- 原稿と写真は先にそろえ、見出しだけで流れが分かるように書く
- 印刷前に紙で折って最終確認する
反響堂に頼む場合の目安
反響堂では、デザイナー歴22年のデザイナーが直接担当し、構成の相談からお受けしています。デザイン料は税込でA5二つ折り28,000円、A4二つ折り・三つ折り35,000円、A4中綴じ8ページ60,000円からの定額で、修正は同じ企画の範囲なら回数無制限です。原稿がメモ書きの段階でも、LINEやメールでお気軽にご相談ください。費用の目安は料金シミュレーターで確認できます。
よくある質問
パンフレットの構成案はどうやって作ればいいですか?
まず載せたい情報をすべて書き出し、「必ず載せるもの」と「なくても困らないもの」に分けます。次に、読む人が知りたい順番に並べ替え、ページごとに1テーマずつ割り振って仮の見出しを付けると、台割(構成案)ができあがります。
パンフレットはワードでも作れますか?
作れます。社内用や少部数をプリンターで刷る場合は十分に役立ちます。ただし印刷会社に入稿する場合は、塗り足しや色の形式(CMYK)、フォントの埋め込みなどに注意が必要で、PDFに書き出しての入稿を求められることが多いです。
A4パンフレットは二つ折りと三つ折り、どちらがいいですか?
見開きで写真や情報を大きく見せたいなら二つ折り、開く順番に沿って段階的に説明したい場合や、ラックに置いて配りたい場合は三つ折りが向いています。載せる情報がさらに多いなら中綴じ冊子も検討しましょう。