文章や画像を作る生成AIが身近になり、「チラシもAIで作れるのでは」と考える方が増えています。実際、キャッチコピーの案出しや構成づくりなど、AIが得意な作業はたくさんあります。一方で、そのまま印刷に使うと困る点もあります。この記事では、チラシ作りでAIが役立つ場面、手順とプロンプトの例、よくある失敗、著作権や広告ルールの注意点、デザイナーとの上手な分担までを解説します。
結論:チラシのAI作成は「下書きと案出し」に強く、仕上げは人の確認が必要
チラシのAI作成は、使い方次第でとても便利です。特に、キャッチコピーの候補をたくさん出す、載せる情報の順番を考える、文章を読みやすく整える、といった「考える」「下書きする」作業では、大きな時間の節約になります。
ただし、AIが作ったものをそのまま印刷して配るのはおすすめできません。事実と違う内容が混ざる、画像の中の日本語が崩れる、印刷には解像度が足りない、といった問題が起きやすいからです。AIは優秀なアシスタントとして使い、最後の確認と仕上げは人が行う。これがいちばん失敗の少ない使い方です。
この記事の要点
- AIはキャッチコピー案・構成・文章の整理・イメージ画像づくりに役立つ
- 画像の中の文字、事実関係、解像度は人が必ず確認する
- 生成物の著作権と、各サービスの利用規約を確認してから使う
- 広告のルールに合っているかは、AIに任せず自分で判断する
チラシ作りでAIが役立つ場面
チラシづくりの工程ごとに、AIが得意なこと・苦手なことを整理しました。
| 工程 | AIの得意度 | 使い方の例 |
|---|---|---|
| キャッチコピー案 | 得意 | ターゲットと強みを伝えて、候補を20個出してもらう |
| 構成・載せる情報の整理 | 得意 | 業種と目的を伝えて、載せるべき項目を洗い出す |
| 本文の下書き・言い換え | 得意 | 長い説明文を短く、読みやすく整えてもらう |
| イメージ画像 | ある程度得意 | 背景や雰囲気づくりの素材として使う |
| 正確な情報の記載 | 苦手 | 料金・日付・住所などは人が入力して確認する |
| 日本語の文字入りデザイン | 苦手 | 画像内の文字は崩れやすいので、後から入れる |
| 印刷用データの作成 | 苦手 | サイズ・塗り足し・色の設定は別の手段で整える |
無料で使えるAIサービスでも、キャッチコピーや構成の案出しには十分役立ちます。「どのAIがおすすめか」よりも、「どの工程でAIを使うか」を決めるほうが、仕上がりに大きく影響します。
AIでチラシを作るときの手順とプロンプトの例
AIを使ってチラシを作るときは、次の順番で進めるとスムーズです。
- 目的とターゲットを決める。「誰に」「何をしてほしいか」を自分で決めます。ここはAIに任せず、お店や会社のことを一番知っている自分が考える部分です。
- AIに情報を渡して構成を考えてもらう。業種、ターゲット、強み、特典、サイズなどを伝え、載せる項目と順番を提案してもらいます。
- キャッチコピーの候補を出してもらう。候補を多めに出してもらい、自分の言葉で手直しします。
- 本文を整える。自分で書いた説明文を、短く読みやすくしてもらいます。
- デザインに落とし込む。デザインソフトやテンプレートを使って、文字と写真を配置します。
- 事実と表現を確認する。料金、日付、電話番号、住所、広告のルールに反する表現がないかを人の目で確認します。
プロンプトの例
プロンプトとは、AIへの指示文のことです。チラシ作りでは、次のように条件を具体的に伝えると、使える答えが返ってきやすくなります。
構成を考えてもらう例:「駅から徒歩5分の整体院の、新規のお客様向けA4片面チラシを作ります。ターゲットは肩こりに悩む40〜50代の会社員です。強みは夜21時まで営業していることと、1回ごとの料金制で回数券の購入が不要なことです。載せるべき項目と、上から順番の構成を提案してください。」
キャッチコピーを考えてもらう例:「上の条件で、チラシの一番上に入れるキャッチコピーを20個出してください。1つ20文字以内で、効果を言い切る表現や、No.1などの根拠のない表現は使わないでください。」
このように、「誰に」「何を」「どんな制約で」を具体的に書くことが、AIを上手に使うコツです。キャッチコピーの考え方そのものはチラシのキャッチコピーの作り方も参考にしてください。
AIチラシでよくある失敗
画像の中の文字が崩れる
画像を生成するAIに、文字入りのチラシをまるごと作らせると、日本語の文字が崩れたり、存在しない漢字のような形になったりすることがよくあります。画像生成AIは背景やイメージ素材づくりにとどめ、文字はデザインソフトで後から入れるのが確実です。
もっともらしい誤情報が混ざる
文章を作るAIは、事実でないことをもっともらしく書くことがあります。営業時間、料金、キャンペーン期間、制度の説明などは、AIの出力をうのみにせず、必ず元の情報と照らし合わせましょう。
印刷には解像度が足りない
AIで生成した画像は、画面で見るには十分でも、印刷には小さいことがあります。たとえば1,024ピクセル四方の画像を350dpiで印刷すると、きれいに出せるのは約74mm四方ほどです。A4全面の背景に使うと、ぼやけてしまうおそれがあります。
どこかで見たようなチラシになる
AIは多くのデータから「よくある形」を作るのが得意なため、個性の弱い、ありきたりなチラシになりがちです。お店ならではの写真や言葉を加えることで、ほかとの違いを出しましょう。
著作権と利用規約で気をつけたいこと
生成AIでチラシを作るときに、特に気をつけたいのが著作権と利用規約です。基本的な考え方は次のとおりです。
- 既存の作品に似ていないか。AIが作った画像や文章でも、既存の作品と似ていて、それをもとにしたと判断される場合は、著作権の侵害になるおそれがあります。特定の作家名やキャラクター名を指定して生成するのは避けましょう。
- 生成物に著作権が認められるとは限らない。AIが自動で作っただけのものは、著作物として保護されない可能性があると考えられています。自分のチラシを他人に真似されても、権利を主張しにくい場合があります。
- サービスごとの利用規約を確認する。商用利用ができるか、生成物の権利がどうなるかは、サービスやプランによって異なります。
- ロゴや商標、実在の人物に注意する。他社のロゴに似たもの、有名人に似た人物の画像は、トラブルのもとになります。
チラシと著作権の全体的な考え方は、チラシの著作権・肖像権の基本でも解説しています。
本記事は一般的な情報で、法的助言ではありません。最新の制度・個別の判断は公式情報や専門家にご確認ください。
広告のルールに合っているかの確認
AIに作ってもらったキャッチコピーや本文は、広告のルールに合っているかを必ず確認しましょう。AIは、読み手を引きつける強い言葉を提案しがちです。その中には、実際より良く見せる表現や、根拠のない言い切りが含まれることがあります。
たとえば、「地域No.1」「必ず治る」「絶対に痩せる」「業界最安値」といった表現は、根拠がなければ景品表示法などの問題になるおそれがあります。健康や美容、医療に関わる業種では、さらに細かなルールがあります。AIに「広告のルールを守って」と指示しても、正しく判断できるとは限りません。最終的な判断は、人が責任を持って行いましょう。
AIで作ったチラシを印刷する前のチェックリスト
AIを使って作ったチラシを印刷に回す前に、次の項目をひとつずつ確認しましょう。印刷してから気づくと、刷り直しの費用と時間がかかってしまいます。
- 料金、日付、曜日、電話番号、住所、URLなどが正しいか(元の情報と照らし合わせる)
- 画像の中に、崩れた文字や意味の通らない文字が残っていないか
- 写真や画像が、印刷する大きさで350dpi程度の解像度を満たしているか
- 仕上がりサイズに塗り足し(周囲3mm程度)を付けたデータになっているか
- 文字や大事な情報が、仕上がりの端に寄りすぎていないか
- 印刷会社の入稿ルール(データ形式や色の設定など)に合っているか
- 根拠のない言い切りや、実際より良く見せる表現がないか
特に1つ目の事実確認は、自分以外の人にも読んでもらうと見落としが減ります。入稿データの準備については入稿とは?印刷データの渡し方で詳しく紹介しています。
AIとデザイナーの上手な分担
AIとデザイナーは、どちらか一方を選ぶものではありません。得意なことを分担すると、費用と時間を抑えながら、仕上がりの質も保てます。
- 自分とAIでやること:ターゲットと目的の整理、載せる情報の洗い出し、キャッチコピーの候補出し、原稿の下書き
- デザイナーに任せること:情報の優先順位づけ、読みやすいレイアウト、写真の調整、印刷用データの作成、表現の最終チェック
AIで原稿の下書きを整えてからデザイナーに渡すと、打ち合わせがスムーズになり、仕上がりまでの時間も短くなります。反対に、AIで作った画像やデザイン案を「こんな雰囲気にしたい」というイメージとして見せるのも、デザイナーに意図を伝えるよい方法です。
反響堂にAIの下書きから依頼する場合
反響堂では、デザイナー歴22年の個人デザイナーが、AIで作った下書きやメモをもとにチラシを仕上げるご依頼にも対応しています。デザイン料は税抜でA4片面15,000円、A5片面10,000円などの定額で、修正は同じ企画の範囲なら回数無制限です。依頼の流れはご依頼の流れで紹介しています。まずはLINEで、手元の下書きを見せながらお気軽にご相談ください。
よくある質問
AIだけでチラシを完成させることはできますか?
キャッチコピー案や構成、本文の下書きまではAIで効率よく作れますが、そのまま印刷するのはおすすめできません。画像内の日本語が崩れる、誤った情報が混ざる、印刷には解像度が足りないといった問題が起きやすいため、最後の確認と仕上げは人が行いましょう。
生成AIで作ったチラシの著作権はどうなりますか?
AIが自動で作っただけのものは、著作物として保護されない可能性があると考えられています。また、既存の作品に似ている場合は著作権侵害になるおそれがあります。商用利用の可否などはサービスごとの利用規約で異なるため、使う前に確認しましょう。
チラシ作りに使うAIのプロンプトのコツは?
「誰に向けたチラシか」「何をしてほしいか」「お店の強み」「サイズ」「使ってほしくない表現」を具体的に書くことです。キャッチコピーは文字数を指定して多めに候補を出してもらい、自分の言葉で手直しすると使いやすくなります。